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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第312回 2022.1/24

帚木77・78:(左馬頭の言葉続き)『いであな悲し、かくはたおぼしなりにけるよ』などやうに、あひ知れる人来(き)とぶらひ、ひたすらに憂しとも思ひ離れぬ男聞きつけて涙落とせば、使ふ人ふるごたちなど『君の御心はあはれなりけるものを。あたら御身を』など言ふ。

けれどやがて知人などが訪ねて来て『さてもさても、ああ、悲しゅうございますね、よくぞこんな御決心をなされましたこと』などと言いながら、残してきた夫に出家した妻の消息を伝えたりしたんでしょう。すると、あながちに嫌いになって別れたわけでもない夫が、その事を聞いて涙を落とす。で、召使いや昔から仕えている女房などが、それをまた家出した妻の所へ来て報告するわけです。『旦那様の御心にはまだまだ深い愛情があったのに、、、奥様は出家してしまったなんて、もったいないことを、、、』とか、そんな事を言われたりしてね。

N君:But one of her friends soon visits her and says, 'I am very sad to know your brave resolusion.'  The information of how she lives in a deserted hut will be conveyed to her husband by one of them.  No wonder the husband who did not divorce her out of disgust would sob at her poor circumstances.  The servants or ladies-in-waiting who had served the couple come to tell her again how he still loves her deeply.  They say in a hushed voice, 'It is regrettable that you have become a nun in spite of his affection for you.'

S先生:第2文に硬さが見られます。N君が考えた構成は「奥さんが荒れ果てた小屋でどんな暮らしをしているかという情報が、奥さんの友人によって旦那のもとへ運ばれる」というものですが、受動態になっていて、主語は人ではなくて information です。ここらあたりに硬さの原因があると思います。素直に人を主語にして能動態にするとスッキリするでしょう。次のようになります。And she(奥さんの友人) tells her husband(家出した奥さんの旦那) how she(奥さん) lives in a deserted hut.  代名詞が少しややこしいのですが、だいぶスッキリしました。第5文の in a hushed voice「声をひそめて、猫撫で声で」は、とても感じが出ていて良いと思います。hush というのは「なだめる、静かにさせる」の意です。ちなみにハッシュドビーフのほうは hash「肉を細かく切り刻む」なので混同しないように。

However, one day a friend of hers visits her, saying, 'Ah, how sad you are !  How brave of you to have left your husband !'  After that she tells her husband about how she is leading her life at the convent, and the man, who has not lost his affection for her, shed tears to hear that.  Then her servants and ladies-in-waiting come, saying, 'Your husband still loves you deeply.  What a pity for you to have become a nun !'

N君:僕の作文の第3文をやっていて自分でもアレッとなったのですが、The husband did not divorce her out of disgust.  という文があったとして、訳が2通り考えられると思うのです。(1)夫は嫌悪感ゆえに彼女と離婚しなかった。(2)夫は彼女のことが嫌いで離婚したのではない、離婚の理由は別にある。

S先生:(2)が正解です。(1)はそもそも変ですよね、嫌いだったら普通は離婚するからね。そのような下世話な判断基準も結構大切ですが、N君が知りたいのは「文法的にどうなのか」という所ですね。結局、否定詞not がどこまで掛かっているのか、という問題です。divorce her までなら(1)、divorce her out of disgust までなら(2)になるわけです。(1)の意味にしたいなら divorce her のあとにカンマを置いて、いったんそこで文章を切る、という手がありますが、out of disgust という句をカンマの後に置くというのは物凄く不自然ですよね。よってこの形なら(2)で間違いないでしょう。厄介なのは because節です。辞書を見ると You should not dispise a man just because he is poorly dressed.「身なりが貧しいからといって人をばかにしてはいけません」が出ていました。just because の前にカンマはないので、否定詞not は文の最後まで掛かっていると考えられ、(2)のパターンであることがわかりますし、訳した時にしっくり来ますね。