2021-10-04から1日間の記事一覧
帚木155:(中将の言葉続き)頼むにつけては、うらめしと思ふ事もあらむと、心ながらおぼゆる折々も侍りしを、見知らぬやうにて、久しき途絶えをも、かうたまさかなる人とも思ひたらず、ただ朝夕に、もてつけたらむありさまに見えて、心苦しかりしかば、頼めわ…
帚木154:中将、「なにがしは、しれものの物語をせむ」とて、「いとしのびて見初めたりし人の、さても見つべかりし気配なりしかば、ながらふべきものとしも思ふ給へざりしかど、なれ行くままにあはれとおぼえしかば、絶えだえ、忘れぬものに思う給へしを、さ…