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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第316回 2022.1/28

帚木86・87:(左馬頭の言葉続き)すべて、よろづの事なだらかに、怨ずべき事をば見知れるさまにほのめかし、恨むべからむふしをも憎からずかすめなさば、それにつけてあはれもまさりぬべし。多くは我が心も、見る人から収まりもすべし。

だから全ての事はひたすら穏やかにね、仮に恨みに思うようなことがあっても露骨に責めてはいけない。ただ、分かっているのよ、と言わぬばかりにチラリとほのめかす程度にしておけば、結局、夫の愛情も深まっていくというものです。多くの場合、夫の浮気心などというものは、のもて扱い次第で収まっていくものなんですからね。

N君:「見る」にはいろいろな意味があって、その中のひとつに「男女関係を結ぶ、結婚する」というのがあります。したがってこの場合「見る人」=「妻」となります。

Considering the tragic cases, a woman had better treat everything calmly.  Even if there were an affair she regarded as a grudge,  she should not blame her husband for it.  A mere gaze suggesting her anger to him will be sufficient to improve his unfaithful behavior.  Casting a quick glance at him as if she knew everything, she will make him refrain from having an affair.  Her clever management will lead to his deep affection toward her at last.  It is natural in many cases that his capricious attitude will subside according to how skillfully she copes with this kind of problems.

S先生:第1文冒頭の分詞構文 Considering the tragic cases, は前回の内容を指しているのでしょう。Considering ~ は「既に起こったことを考えてみると」というニュアンスですからね。しかし今回の作文のみに限定して評価しようとすると、この構成は不適です。この分詞構文をたとえば If she wants not to get into grief, のような条件節に変えてみるのも無難な方法だと思います。第1文主節の中にある動詞 treat は「人や動物を遇する」の意ですからここでは不適で、「事に対処する」deal with を使いましょう。第3文と第4文はほぼ同じことを言っていて内容的に重なるし、やや硬さが残っているのですが、そういう欠点を差し引いても立派な文章になっていると思います。第6文では It is natural と in many cases とが内容的にかぶっています。many cases で見られることだからこそ natural なのですからね。そこで It is natural の構成を捨てて簡潔にしましょう。many を most に変えて、かつ、capricious attitude も capriciousness にまとめましょう。結局、In many cases, his capriciousness will subside according to how skillfully she copes with this kind of problems. とするのがスッキリして良いと思います。少しでも「簡潔に、短く」の精神です。

S先生:A woman should be quiet and gentle.  Even if something comes up that arouses her anger, she must not blame him bluntly.  Hinting that she knows everything he is doing, she should warn him lightly.  Then he will come to love her more and more deeply.  In most cases, a husband's capriciousness will cease if his wife treats him cleverly.

N君:第2文の譲歩節中にある something を anything に変えてもよいでしょうか?

S先生:something の場合は「なにか問題が発生するだろうと予期している」という含意があります。これに対して anything を使うと「問題が起こるかどうかは分からないが仮に起きたとすれば」の意味になります。今回の場合は something も anything も両方考えられます。こういう所に目が行くようになったということは、N君の英語力がアップしている証拠で、私も嬉しく思います。第308回の解説をもう一度読み返してみて下さい。「肯定文ではない否定・疑問・条件の文の中で使われた some と any がどういう意味をあらわしているか」という問題について、次の例文を見てもう一度考えてみて下さい。Don't you have some money with you ?「本当は持ってるでしょ」。Don't you have any money with you ?「本当に持ってないの?」