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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第313回 2022.1/25

帚木79・80・81:(左馬頭の言葉続き)みづから額髪をかきさぐりて、あへなく心細ければ、うちひそみぬかし。しのぶれど涙こぼれそめぬれば、折々ごとに念じえ、悔しき事多かめるに、仏もなかなか心ぎたなしと見給ひつべし。濁りにしめるほどよりも、なま浮かびにては、かへりてあしき道にもただよひぬべくぞおぼゆる。

そこで自分でも額のところの髪の毛を掻き探ってみれば、なにしろ尼になって髪を短く切ってしまったので、パラッと頼りない感じがして、やはり後悔やみがたく泣きべそをかく、なんてことになる。こうなればどんなに堪えても涙が流れ始めて、それからはなにかにつけて泣いて泣いて後悔ばかりしている、という事になるわけです。出家なんていっても、こんな事で未練の涙を流しているようでは、仏様も、さぞ心の濁った女だわい、と御覧になるに違いない。ゆえに、ずっと俗世間に居る人よりも、そんな風に生半可な出家をした女のほうが、かえって後世が悪い、ということにもなりましょうなあ。

N君:Trying to touch her own hair on her forehead, she cannot but regret and shed tears because she has already had her hair cut short.  The remorse makes her burst into tears in spite of her all efforts to prevent them from pouring out.  This poor condition may  result in her melancholy life which is continuously filled with tears and regrets.  Buddha must regard her as an impurely minded nun because she is always weeping out of the lingering attachment to her husband in spite of having definitely renounced her real life.  The way she has become a nun superficially will be even worse than the way common people lead their lives in a secular world.  To leave a thing half done like that will leave her a merely bad taste.

S先生:第1文では久しぶりに have+O+p.p. が出ました。この have を弱い使役動詞とみなして全体を「~してもらう」ととらえることが大切です。N君はもう充分できていますね。第2文の後半の in spite of  以下は不要なので除外しましょう。こういう所のくどさがN君の悪い所です。簡潔明瞭を心がけましょう。説明的になってはいけません。第5文の secular「世俗の」はあまり見ない形容詞ですが、ここではピッタリでした。今回は可もなく不可もなしといった感じで流れていきましたが、最後に第6文で大技を見せてくれましたね。To leave a thing half done like that will leave her a merely bad taste.  は、まるで格言のような言い回しでした。前半の leave は SVOC「OをCのままに放っておく」、後半の leave は SVO1+O2「O1にO2を残す」、という具合に使い分けてくれました。とても意欲的な取り組みで感心しましたが、格言というものはできるだけ短いのがよいので、後半を leave herself unfinished くらいの SVOC型でまとめるほうがスッキリするのではないでしょうか。

Touching her cropped hair around the forehead, she sobs and repents of her deed.  However hard she tries not to cry, she can never stop tears rolling down her cheeks, remembering this and that.  Seeing her shedding lingeringly, the Buddha must think that she has not purified her soul yet.  She would lead her life more unhappily than if she lived with us in this dirty world as long as she is a half-hearted nun.

N君:第1文で、crop は名詞「穀物」しか知らなかったのですが「刈る」という他動詞があったのですね。第4文では than 以下に if に率いられた節が入っていて少々驚きましたが、なるほどこういうパターンもあるのですね。

S先生:私の第4文の than の後には実は she would lead her life が隠れているのです。もしこれを正直に書いてしまうと、主節のSVを繰り返すことになってしまいますからね。同形反復は避けなければなりません。N君が日頃何の気なしに使っている as if なんかも同じように考えてください。たとえば He talks as if ke knew everything. という文では、as の後に he would talk が省略されているのです。

N君:なんだか僕の英語世界が拡がった気がします。