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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第221回 2021.10/25

桐壺161:ひととせの東宮の御元服、南殿にてありし儀式、よそほしかりし御ひびきにおとさせ給はず、ところどころの饗など、くらつかさ穀倉院など、おほやけごとにつかうまつれる、おろそかなる事もぞと、とりわき仰せごとありて、きよらを尽くして仕うまつれり。

そのありさまは、去年東宮元服の儀を挙げられた折、宮中の南殿で執り行われた諸々の儀礼が盛大であったその騒ぎにおさおさ劣らぬばかりの盛儀となった。宮中の各役所で賜った饗宴にあっても、内蔵寮、穀倉院など、公の規則通りぬかりなく調進したけれど、それでもなお不足があってはいけないというので、特段の勅命が下され、さらにあらん限りを尽くして見事に調製したことであった。

N君:「もぞ、もこそ」は英語でいうところの in case で「~したらいけないので」という懸念を表します。一般に男どもは人生出たとこ勝負というところがあって、「万が一~するといけないから」というような予防線を張るような生き方はしませんが、女性は違います。女性はいつでも予防線を張って注意深く生きていますから、ついつい「もぞ、もこそ」を使う機会が多くなるようです。たとえば百人一首の男性歌79首に「もぞ、もこそ」は全く見られず、女性歌は21首のうちの2首に「もぞ、もこそ」が登場します。それを紹介します。No.72:裕子内親王紀伊:音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖の濡れもこそすれ「噂に高い高師の浜のいたづらに立つ波をかけますまい、袖が濡れるといけないので。噂に高い浮気なあなたの言葉は心にかけますまい、後で袖が涙で濡れるといけないので」。No.89:式子内親王:玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば 忍ぶることの弱りもぞする「わが命よ、絶えてしまうのなら絶えてしまえ、このまま生き永らえていて、堪え忍ぶ心が弱ってしまうといけないから」。以上、文英堂「原色百人一首」から摂りました。

The way the ceremonies were held for Genji this year was no less brilliant than the way the rituals were carried out for the Crown Prince last year in the Southern Villa of the Palace.  Although respestive division such as Kuratsukasa and Kokusohin served a decent feast cautiously according to the official rules, He dictated special terms to the couteirs in case the preparation might be insufficient.  Therefore they decorated the event gorgeously by resorting to every possible means.

S先生:今回は上出来でした。第1文の the way S V は是非とも慣れて使ってほしい言い方です。第2文に問題の in case が登場しました。このように接続詞として使います。第3文には前回の日米和親条約で出て来た resort to を早速使いましたね。ここは感じが出ています。最後の means 「手段」は単複両使いの名詞ですがここでは every からも分かる通り単数扱いになっています。全体を通して直すところはありません。

The ceremony was in no way inferior to the Crown Prince's, which had been performed at the South Court the year before.  The banquets were much more magnificient , with various articles of food provided by the courtiers, who worked at Kuratsukasa and Kokusohin, according to the official rules.  The Emperor, however, issued a special order to supply as many articles as possible lest the food should run short.  They supplied as much gorgeous food as they could.

lest はやや古風な接続詞でこの第3文のように使って「食べ物が不足するといけないから」という副詞節を作ります。in case と似た言い方ですね。

N君:僕の作文の dictate special terms to the courtiers というのは少し不自然で、S先生の issue a special order のほうがしっくり来ます。