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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第220回 2021.10/24

桐壺160:ゐたちおぼしいとなみて、限りある事に、事を添えさせ給ふ。

帝は手ずからかれこれの世話を焼かれて、本来定まっている儀式に、なお種々のことを加えて綺羅を尽くされた。

N君:Putting His nose into everything about the event to celebrate the growth of Genji, the Emperor Himself took care of this and that.  He ordered to add extravagant things on the formal ritual.

S先生:第2文の on ですが add+O+on~ の形を想定したのでしょう。気持ちはわかるのですがここは to のほうが良いと思います。これはかなり小さなことで、全体としての出来はOKです。特に出だしの Putting one's nose into ~ という分詞構文は感じがよく出ています。「すでに形の出来上がっている儀式」の雰囲気を出すために established という単語を使ってみるのも一法です。以下に示した私の作文はほとんどN君の作文の焼き直しなのですが、to および established のところだけ違っていますから味わってみて下さい。

The Emperor Himself took care of this and that, and added new forms to the established one in order to make the rite gorgeous.

さて今日の英作談義は「1854日米和親条約第7条の英文に対する和訳に異議あり」というかなりオタクな話をしましょう。1868明治維新の15年前すなはち1863にペリーが浦賀に来航したのですが、幕府は言を左右してペリー一行に一旦おひきとり願い、翌年1864ペリーが再来して日米和親条約が結ばれました。その第7条の英文はこうです。

It is agreed that the ships of the United States resorting to the ports open to them shall be permitted to exchange gold and silver coin and articles of goods for other articles of goods, under such regulations as shall be temporarily established by the Japanese government for that purpose.  It is stipulated, however, that the ships of the United States shall be permitted to carry away whatever articles they are unwilling to exchange.

まずは私が虚心坦懐に訳してみましょう。『開港された港に立ち寄った米船は、日本政府が交換について定めた一時的な制限のもとに、金銀品物をもって他の品物と交換してよい。しかしながら、米船は交換したくない品物があればそれがどんなものでも、交換せずに持ち帰って良い。』

第1文の ports は下田と函館を意味しています。resort to「非常手段に訴える」であって、嵐などでやむなく寄港する、食料燃料補給のために立ち寄る、のような意味なのでしょう。as は関係代名詞ですね。第2文の stipulate は「条件として規定する」の意です。英文として特に問題なさそうですが、幕府の和訳を読んてみましょう。

【合衆国の船、右両港に渡来の時、金銀銭ならびに品物をもって、入り用の品あいととのえ候をさし免じ候。もっとも日本政府の規定にあい従うべく候。合衆国の船より差しい出し候品物を、日本人好まずして差し返し候時は、受け取るべく申す事。】

英文の第2文に出て来る they は明らかに the ships of United States つまり米国人を指しているのに、幕府の和訳ではなぜか日本人に変わっていますね。日本側の曲解です。国と国との交渉事なのに、このような基本的な誤訳がまかり通っていたとは驚きですね。

N君日米和親条約の誤訳にはぶったまげました。こんなことがあるんですね。