長恨歌 その37: 悠悠生死別経年 魂魄不曾来入夢
悠々たる生死別れて年を経たり。魂魄(こんぱく)かつて来たりて夢に入らず。
生死の境を異にして二人は遠く隔たり、別れてから久しく年が過ぎたけれども、楊貴妃の魂は夢の中にさえ一度も出て来ない。
N君:構成的には難しくない。キモは「まだ一度も~ない」です。
He has been far away from Her by the boundary between this real world and the Heaven. Although a long time has passed since She died, Her soul has never visited Him even in His dreams.
S先生:最近は余分な修飾語が減ってずいぶんスッキリしてきましたが、今回は by the boundary がいけません。これは不要です。ここを省いて読み下してみて下さい。しっかりと意味が通じますね。
He and She now live far away in different worlds, and it is a long time since they parted from each other. Yet He has never seen Her spirit in His dreams.
N君:yet は難しくて「こういう yet は僕にはまだ使えないなあ。」という感じです。文頭に yet を持ってきたということは、単に never seen を飾る副詞ではなく、この否定文全体に掛かる副詞とみてよいのでしょう。