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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第781回 2023.5/8

古文研究法132-2 大鏡より:いとねぶたげなる御気色にてもてなさせ給ひて、ものも仰せられねば、もし聞こしめさぬにや、とて、また御気色給はれど、うちねぶらせ給ひてなほ御いらへ無し。

すると兼家公はひどく眠そうな様子をなさって何もおっしゃらないので「あるいはお耳に入っていないのか?」と思って、もう一度指図を仰いだのだけれど、うつらうつらしていてやはり返事がない。

N君:面白い展開になってきました。「御気色給はれど」は「指図を仰いだけれど」の意味です。

Then he found that Lord Kaneie looked very sleepy and didn't say anything.  He thought that Kaneie must have been unaware of his words.  Therefore he tried again.  But Kaneie seemed to fall into a doze and didn't reply.

S先生:第4文に Kaneie seemed to fall into a doze「兼家公は眠りこけているようだった」を見て、seem と look の違いに関してちょっと思ったことがあるのでここで述べておきます。seem は書き手あるいは話し手が登場人物に対して持つ主観を表します。He seemed very happy.「幸せそうに見えたが、実際に幸せかどうかは分からない」。一方 look は文字通り目に見えるままの客観を表します。He looked very happy.「見るからに幸せそうだった」。さて本文に戻りますが、ここの部分を、N君の原作通り He seemed to fall ~ とするのが良いか、それとも He looked to be falling ~ とするのが良いのか、何とも言えません。どちらもあり得ますね。今日はちょっと細かい話をしてしまいましたが、たまにはこのようなことを考えてみるのも英語学習には大切なことです。

When the person visited him to tell him the incident, Lord Kaneie looked too sleepy to say anything.  At first he wondered if he wouldn't listen to him.  And so he asked him for advice, but still looking half asleep, he seemed to have no will to answer.

N君:先生の第1文従属節にある二つの him と、主節にある Lord Kaneie は同じ人であることは分かります。たとえばこの文を When the person visited Lord Kaneie to tell him the incident, he looked too sleepy to say anything. とするのはどうですか?

S先生:それはダメです。私の原文通り、代名詞を従属節に置き、ちゃんとした固有名詞を主節に置いて下さい。その結果、はじめに代名詞が出て、後から固有名詞が出る、という現象が起きるのですが、それで良いのです。

N君:先生の第2文に三つの代名詞が出ましたが、注意して読むと、一つ目と三つ目がAで、二つ目がB=兼家、だと分かります。でもこういう文は分かり難いと思います。

S先生:確かに分かり難いのですがちゃんと読めば区別できますよね。私の第3文に出て来る三つの代名詞においても、一つ目がA、二つ目と三つ目がB=兼家、になっています。実際の英文ではこのような文はよくあります。慣れていきましょう。