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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第600回 2022.11/7

古文研究法46-1 枕草子上臈(じゃうらふ)とおぼしき人、簾(す)のもとにゐざり出でて「いと嬉しく立ち寄らせ給へりつる験(しるし)に、いとたへがたく思ひ給へられつるを、只今おこたるやうにはべれば、かへすがへす喜び聞こゆる。明日も御いとまの隙(ひま)にはものさせ給へ」など言ひ継ぐ。

上の方と思われる女性が簾のところまで膝を滑らせて来て「大変嬉しいことに、あなたがここへお見舞いに来て下さったおかげで、もともと主人はとてもやりきれないと存じておりましたのに、早速快方へ向かっているようですので、あつく御礼申し上げます。明日もお手すきの時間がありましたらおいで下さいませ」などと、御主人の口上をとりついだ。

N君清少納言がある家の主人を病気見舞いしたところ感じの良い女性が出て来て応対してくれた、というお話のようです。上臈はもともと「身分の高い人」の意ですがここでは「その家に仕える女中さんたちの中の上の方の人」という意味です。「ゐざる」は「立って歩くのではなくて膝を滑らせて移動する」の意で、時代劇などで昔の人がそういう動きをしているのを見たことがあります。「労(いた)はり怠(おこた)る」は「病気がよくなる」の意であって古文のヤマです。「聞こゆ」は謙譲の補助動詞であって、hear ではなくて「~申しあげる」の意味です。「ものす」は do であり、場面場面によって適当に訳すしかありません。大概は前に一度登場した動詞を意識して訳せば間違いありません。ここでは「見舞いに来る」の意になります。

An elegant woman, who seemed one of senior ladies-in-waiting, pulled herself along with her hands and said, "To my pleasure, my Lord seems to be getting better due to your coming to see him though he has looked exhausted.  I don't know how I can ever thank you.  If you are free tomorrow, please visit here again."  This request expressed through her was from her Lord.

S先生:まずまずですが何か所か指摘します。第1文の due to「~の原因で」はあまりにも杓子定規です。ここは「~のおかげで」を表す thanks to の方が良いと思います。His absence was due to illness. のような時には due to ですが、Thanks to your help, I could finish it by the time.  のような時には due to よりも thanks to の方が適切でしょう。第2文の I can't know how I can ever thank you.「どうやって感謝していいか分からない」はちょっと硬い。たとえば I cannot thank you too much. はどうでしょうか。cannot ~ too で「いくら~しても~過ぎることはない」となって、このほうが意味が通じるでしょう。この構文でよく出る例文は You cannot be too careful.「いくら注意しても注意し過ぎることはない」です。

A decent lady, who seemed to be from a high-ranking family, drew closer to me on her knees, saying, "Thank you so much for having taken the trouble to inquire after my husband.  To my great joy, he seems to be getting better though he has been discouraged with his illness."  And she added as a message from her husband, "Would you please come to see him again if you are free tomorrow ?"

N君:先生の作文の第1文に出て来た take the trouble to do はどういう意味ですか?

S先生:「わざわざ~する、骨折って~する」の意味です。作文には結構出てくるのでこの機会に覚えてドシドシ使ってみて下さい。