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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第756回 2023.4/13

古文研究法123-1 大鏡より:入道殿御嶽(みたけ)に参り給へりし道にて、帥殿(そちどの)の方(かた)より便(びん)なき事あるべし、と聞こえて、常よりも世をおそれさせ給ひて、たひらかに帰らせ給へるに、かの殿も、かかる事聞こえたりけりと人の申せば、いとかたはら痛く(おぼ)されながら、さりとてあるべきならねば、参り給へり。道のほどの物語などせさせ給ふに、帥殿いたく臆し給へる御気色のしるきを、をかしくもまたさすがにいとほしくも思(おぼ)されて「久しく双六(すごろく)つかまつらで、いとさうざうしきに、今日あそばせ」とて、双六の盤を召して押し拭(のご)はせ給ふに、御気色こよなう治(なほ)りて見え給へば、殿をはじめ奉りて参り給へる人々あはれに見奉りける。

道長金峯山(きんぷせん)へ参詣した道中で「伊周様のほうから何か不届きな企みがあるんじゃないか」という噂が立って、道長様はいつもより警戒していたが、無事に帰京なされた。伊周様の方も、「そんな噂があったらしい」と人が言うので、気にはなりながら、かと言ってそのまま放置しておくわけにもいかず道長様のお宅を訪問した。二人が金峯山への道中の話などしていると、伊周様がたいそう気おくれしている様子がはっきりしていたので、道長様はそれが面白くもありまた一方気の毒にも感じたので「長く双六をやっていないので物足りない、今日やろうよ」と言って盤を出させて拭いていると、伊周様の気分もすっかりほぐれてきたように見えたので、道長はじめ参内していた人々は伊周様のことを気の毒に思った。

N君:登場人物は道長・伊周という叔父・甥のライバルですが、二人とも高位の人物なので敬語が使われていて、各文の主語がどちらなのか判断が難しいです。少なくとも僕の能力では解釈は無理でした。日本史的に「道長は剛毅の年長者で勝者、伊周は気の弱い年少者で敗者」という事実を分かっていれば、解釈する上での足しになるでしょう。「入道殿」は「道長」で、「御堂関白殿」という呼び方もあります。「御嶽」は奈良県吉野市の「金峯山」で、道長はけっこう何回も通っています。輿に乗ったり歩いたりして行ったのでしょうが、信心深かったのでしょう。「帥殿」は「伊周」で、「儀同三司」という呼び方もあります。そのお母さんが百人一首No.54に歌を残しており第476回に登場しました。「便なき事」は「不届きな企み」の意、「かたはら痛く思して」は「どうしたものかと気にして」の意、「あるべきならでは」は「放ってもおけないので」の意、形容詞「しるし」は「ハッキリした様子」の意、「いとほし」は「気の毒」の意、「さうざうし」は「物足りない」の意です。何度も言いますが、今日の文章は僕のレベルでは解釈不能です。まだまだですね。

It was rumored that Mr. Korechika was to injure Lord Michinaga on his way to visit Mt. Kinpusen.  Keeping watch more strictly around himself, Michinaga came back to Kyo safely.  Feeling to be accused of a crime he did not commit at all, Korechika visited Michinaga because he could not lay the bad rumor aside.  While Michinaga talked about the trip to Kinpusen, he saw Korechika losing his nerve.  Michinaga was interested in the negative mood of Korechika at first, but felt sorry for him all the more for his restlessness.  Michinaga said to Korechika, "Something may be missing probably because we have not played Sugoroku recently.  Let's do it today."  Michinaga had a Sugoroku board taken out and he wiped it politely.  Korechika seemed to feel easy.  Seeing his cowardliness, Michinaga and other visitors felt pity for him.

S先生:良いです。第3文前半の分詞構文 Feeling to be accused of a crime he did not commit at all「彼自身全く関与していない罪で罰せられるような気がして」を、Reproaching himself for the affair he did not intend to commit at all「全く関与する気もなかったその件のことで自身を責めて」のように変える手もあります。まだ罪と決まった訳ではないので crime を使うのはちょっと違うのではないでしょうか。ちなみに同じ「罪」でも、「法律上の罪」は crime、「宗教・道徳上の罪」は sin です。

When Lord Michinaga was on the way to pay a visit to Mt. Kimpu, he heard a rumor that Lord Korechika was going to attack him.  Paying much more caution than usual, he returned to Kyoto safely enough.  The evil rumor made Korechika visit Michinaga to justify himself.  He said that he had nothing to do with it.  While Michinaga was talking about what he had experienced on his way to Mt. Kimpu, Korechika seemed to get nervous.  Michinaga felt both amused and sympathised to see his scared air, and said, "We haven't played sugoroku for a long time.  How about playing it now ?"  While wiping the sugoroku board, he saw Korechika getting more and more relaxed.  Michinaga and the officials around him felt sorry for him all the more.