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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第740回 2023.3/28

古文研究法116-1 更級日記より:うらうらとのどかなる宮にて同じなる人三人ばかり物語りなどして、まかでてまたの日、つれづれなるままに恋しう思ひ出でらるれば、二人の中に「袖濡るる荒磯浪と知りながら 共にかづきをせしぞ恋しき」と聞こえたれば、、、、

春の日のうららかでのんびりしている頃の勤め先の御殿で、気の合う三人の女官たちがおしゃべりをして、自宅へ下がったその翌日、することもないのにつけて昔のことが恋しく思い出されるので、一人が他の二人に向けて「宮仕えは辛いことが多いものですが、あなたがたお二人とご一緒だった日々が懐かしうございます」と歌を詠みかけたところ、、、、

N君:かなり難しい文章です。「同じなる人三人」は「性格が似ていて気心の知れた三人の女官たち」です。「まいる」は卑所から貴所へ行くことですが、「まかず」はその逆なので「御殿から自宅へ下がる」となります。「またの日」は「翌日」。自発の「らる」が出ました。「二人の中に」は難しい。「三人のうちの一人が残りの二人に向かって」の意味らしいですが、これは教えてもらわないと解釈は無理です。古文というのはどうしてこんなに主語が省略されるのか、と恨めしくなります。和歌も難しいです。「袖濡るる荒磯浪」が「辛い宮仕え」とは到底思いつきません。「聞こゆ」は「言ふ」の謙譲語で「申し上げる」くらいの意味です。

Three ladies-in-waiting have been getting along well together as colleagues in a villa.  Chatting as usual about this and that on one day in spring, they went back respectively to their houses.  Having nothing to do on the next day and fondly remembering old memories, one of them composed a poem to send it other two members : "Although it was hard for me to serve at Court, I was happy because I could put up with the hard days together with you two."

S先生:構成は申し分ありません。最近とみに進歩したようです。細かいところ(といってもかなり重要ですが)を2か所ほど指摘しておきましょう。第3文のはじめのほうに on the next day がありますが、この前置詞 on を除外して下さい。ここは on なしの the next day だけで副詞句を作っているのだから on は全く不要なのです。同じく第3文後半の other two members は間違いではありませんが the other two に変えたいです。定冠詞を入れることで「余りなく残りの二人全員に」という感覚が生まれます。こっちのほうが英語らしいでしょう。同じく第3文の fondly remembering ~ ですが、ここは fondly-remembering というふうにハイフンを使って一語にしてもよいでしょう。

Each of the three laies-in-waiting on very good terms went home after they had chatted about one thing and another at the Court on a mild spring day.  The next day one of them, finding herself having nothing to do, composed a poem to send it to them two : "How trying it was to serve at Court !  But now I recall yearningly the painful days I worked for the nobles together with you."

N君:先生の第1文では at the Court なのに、第2文では at Court になっています。この違いは何でしょうか?

S先生:私も悩んだところです。一般に、生徒が勉強するために「学校へ行く」という場合は go to school であり定冠詞なしです。しかしたとえば、父母がPTAに参加するために「学校という場所に行く」というような場合には go to the school が使われます。at Court や at the Court もそれと同様に考えてみて下さい。仕事として宮中へ参内する、というような場合は「政治の場としての宮中へ仕事として行く」のですから本来の行動であって at Court でよいです。しかし、遊びや見物のために「宮中という建物・場所へ行く」という場合は at the Court でしょう。ここでは「おしゃべりしていた」場合は at the Court、「勤務していた」場合は at Court にしてみました。

N君:定冠詞の有無にそんな深い理由があったとは驚きです。