2023-03-06から1日間の記事一覧
古文研究法116-2 更級日記より:「荒磯はあされど何の甲斐なくて 潮(うしほ)に濡るる海人(あま)の袖かな」。いま一人「みるめ生(お)ふる浦にあらずは荒磯の 波間数(かぞ)ふる海人(あま)もあらじを」。同じ心にかやうに言ひ交(かは)し、世の中の憂きも辛きも…
古文研究法116-1 更級日記より:うらうらとのどかなる宮にて同じなる人三人ばかり物語りなどして、まかでてまたの日、つれづれなるままに恋しう思ひ出でらるれば、二人の中に「袖濡るる荒磯浪と知りながら 共にかづきをせしぞ恋しき」と聞こえたれば、、、、…
古文研究法115-2 花月草紙より:かくては人をも避けてあるべきに、若人(わかうど)にうち混じりて人より先にゐざり出でつつ、老いたる者よと自(みずか)ら許して、人の厭(いと)ふをもいとはず杯(さかずき)人にさして、我が齢(よはひ)ゆづりてむ、など放俗に言…
古文研究法115-1 花月草紙より:老いぼれたる者こそ、いといたうあさましけれ。顔の色も黒味(くろみ)もてゆくに、天雲のむらむら見ゆるやうなるものさへ見へて、ささ波の皺(しわ)寄り来るに、腰もうちかがめて膝舐(な)むる様(さま)し、しわぶきがちに涙おし…
古文研究法114-2 去来抄より:去来いはく「これは即興感偶にて発句たること疑ひなし。第三は句案にわたる。もし句案にわたらば第二等に下らむ」。先師(芭蕉)重ねていはく「角・来が弁みな理屈なり。我はただ花より松の朧(おぼろ)にて面白かりしのみ」となり…
古文研究法114-1 去来抄より:「辛崎(からさき)の松は花より朧(おぼろ)にて 芭蕉」。伏見の作者、「にて」留めの難あり。其角いはく「『にて』は『かな』にかよふ。この故に『かな』留めの発句に『にて』留めの第三を嫌う。『かな』と言へば句切迫なれば『に…