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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第657回 2023.1/3

古文研究法75-1 源氏物語少女:この院の内に御曹司(おんぞうし)つくりてまめやかに(ざえ)深き師にあづけ聞こえ給ひてぞ、学問せさせ奉り給ひける。月に三度ばかり参り給へと許し聞こえ給ひける。

源氏の君は、この建物の中に勉強部屋をこしらえて、精勤で学識深い先生に、この少年を預け申し上げなさり、彼に学問をおさせになった。月に3回くらいは外出してもいいよ、とお許しになった。

N君:主語が省略された文は解読に手間取ります。目的語も省略されるのでさらに分からなくなります。今回の文ふたつは共に敬語がバンバン使われて2重敬語になっている部分もあり、周辺状況から主語は光源氏でよいと思われます。目的語は、源氏が目をかけている少年です。「御曹司」は現在では「お金持ちのお坊ちゃま」のような意味ですが、昔は全然違います。「曹司」というのは「局、部屋」のような意味なので、ここでは「勉強部屋」となります。前回「まめまめし」が出ましたが今回は「まめやかなり」です。「まめ」は「浮ついたところがなくて本格的」の意でしたから、ここでも「本格的な、まじめな」のような意味になります。この「まめやかに才深き師」という言い方にも注目です。はじめに連用形があって続いて連体形+名詞 となっていますが、こういう形は小西甚一先生曰く「ならびの修飾」と呼ぶそうです。前回「近くて見む人の聞き分き思ひ知るべからむ」(気が知れていて分別のある妻)というのが出ましたが、これは連体形が続く言い方であって、「ならびの修飾」とはちょっと違いますが、似た者どうしであることは確かです。古文特有の言い回しとして認識しておく必要があると思われます。「月に三度ばかり参り給へと許し聞こえ給ひける」では「をぞ」の中に「参り給へと」が挿入されている、と考えるそうです。いろんなことがあるものです。

Lord Genji prepared a study room for him in this villa, put him under the care of an industrious and erudite teacher, and induced him to study hard.  Genji let him go out of the villa about three times a month for a diversion.

S先生:良いです。ただし第2文末に置かれた for a diversion「気晴らしに」は、ここではなくて go out of the villa の後に置くほうがよいでしょう。

Lord Genji provided a study room for the boy in the villa and left the boy with a learned and diligent scholar to motivate him to work hard.  Genji permitted him to go out for relaxation at least three times a month.