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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第674回 2023.1/20

古文研究法82-1 源氏物語帚木より:月は有明(ありあけ)にて光収(をさ)まれるものから影さやかに見えてなかなかをかしき曙(あけぼの)なり。何心なき空の景色もただ見る人から、艶(えん)にもすごくも見ゆるなり。

夜が明けてもまだ月が残っている。光は薄らいでいるのに月の形がくっきり見えて、光が射しているよりもかえって趣深い夜明けだ。無心なハズの空の様子も見る人の気持ち次第で華やかにも淋しくも見えるものだ。

N君:「有明の月」は「明け方にまだ空に残っている白っぽい月」で、古来歌に詠まれてきました。「ものから」は逆接の助詞です。「影さやかに見えて」は「月の形がくっきり見えて」です。影というのは shadow というより light の意で、ここでは「光を発する月の輪郭」くらいの意味だと考えられます。形容動詞「なかなかなり」は「かえって~だ」であり必ず比較対象があるはず。ここでの比較対象は「夜空に輝いている月」なのでしょう。形容詞「すごし」≒「すさまじ」は「興ざめだ」の意。「艶」の反対語になります。

The moon still remains in the sky at dawn.  Its shape looks more clearly in the dim light.  I found that a white moon in the early morning might seem to be more tasteful than a shining moon in the evening.  It is true that the sky has no consciousness, but how it looks depends on the looker's mood.  Think optimistically and the sky looks brilliant.  Think pessimistically and it looks dreary.

S先生:まずまずではありますが、どことなく理屈っぽい気がします。第1文・第2文は良いとして、第3文は I found that を除外して、かつ、might を seems to くらいに変えるほうがスッキリするでしょう。第4文も It is true that A, but B. 「なるほどAではあるが実際はBだ」という構文ですが、ちょっと力が入りすぎていると思います。It is true that を除外しても何の問題もないし、むしろ除外したほうがスッキリするでしょう。第5文・第6文も「命令文+and ~」の構文ですが、ちょっと肩に力が入っている感じがしてあまり好感を持てません。

The moon still shines dimly at dawn.  Though the light has become paler, its shape is clearly seen.  A dim dawn seems much more superb than a light midnight.  An insentiment sky looks dreary or brilliant depending on your feelings.

N君:S先生第4文の depending on your feelings は、your の代わりに our でもよいですか?

S先生:our でも分かりますが、こういうところは「一般的な総称の you」を使うのが無難でしょう。You can't judge a book by its cover.「人はうわべでは分からない」の主語を We にしても意味は分かりますが、普通は You を使います。その前の dreary or brilliant は、和訳と比べてみると順序が逆になっていますが何故だか分かりますか?

N君:これは「軽前重後」ですね。こんなところにも軽前重後が顔を出すなんて、油断も隙もありません。