kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第318回 2022.1/30

帚木91・92:(中将)「さしあたりて、をかしとも哀れとも心にいらむ人の、頼もしげなき疑ひあらむこそ大事なるべけれ。我が心あやまちなくて見すぐさば、さしなほしてもなどか見ざらむと覚えたれど、それさしもあらじ。

そして次には中将が口を開いた。「さしあたっては、すてきだ、いいな、と思って心にかなった人に、どうも不実の行いがあるかもしれないと疑われるようなことは、そりゃ一大事です。でももし仮に自分の方に過ちがないとして、そういう場合には相手の行動についても大目に見て寛容な扱いをしておくならば、やがてなんとかかんとか仲を修復していくことができそうに思われるのですが、、、いやいや、そんな簡単なことでもないかな。

N君:前回調べたように「見る」は「男女関係を持つ、結婚する」の意でしたから、「などか見ざらむ」=「どうして男女の関係を保つことができないだろうか、いやできる」=「仲を修復できる」という訳になるようです。

Then Tou-no-Chujo said, "At first, it is a serious matter that a lovely woman you had wanted to be on friendly terms with suspect you to be an unfaithful man.  However, as long as you don't make any immoralities, you should overlook her irrational complaints.  This tolerance apparently leads to a happy end with repairing your injured relation.  Well, is this idea too blithe ?

S先生:今日のところは短いですが色々問題があります。第1文は it~that~構文で「~であることは重大な問題だ」と言っているわけですが、この that を if に変えて「~かどうかは重大な問題だ」とすることもできますね。if のほうが良いかもしれませんね。また節のなかで you had wanted to do というふうに過去完了を使っていて「昔好きだった女性」という意をあらわしているのでしょうが、ここは普通に現在形 want で構わないと思います。第2文は「あなたにやましいところがないなら、妻の非論理的な愚痴を聞き流してあげなさい」と作文していますが、これは「実際に不倫している場合は、妻の文句に対して言い返せ」というふうにも取れるので、英語としてはOKでも、文章の論理としてはちょっとおかしいです。原文があいまいだからこうなるのかもしれませんが、この辺りはよく考えて、筋の通った文にしなければなりません。以下に示した私の解釈は一例にすぎませんが参考にしてみて下さい。第3文は色々な意味でおおいに問題ありです。まず主語を This tolerance「前述のような夫の我慢」としたために全体が硬くなってしまいました。抽象名詞や無生物主語は便利ですが文を硬くするので、特にこのような会話文では注意しなければなりません。主語を you にするところから考えましょう。別に難しいことではなく、素直にやればよいのです。また副詞 apparently は「明らかに」「見たところ~っぽくて」という相反する意味を持っていて使い方の難しい重要単語です。この単語についてはいつか単独で話す機会を設けます(第321回)ので、ここでは使うのをやめておきましょう。さらに happy end は典型的な和製英語です。使うなら happy ending でしょうか。どんどんいって with repairing ~ ですが、ここは結果の不定詞 to repair でつないで「ハッピーエンドになって関係もよくなる」とするのが良いと思います。最後に relation は通常 Japan-US relations のように国家間などの関係に使われる単語であり、人と人との関係は relationship で表します。N君の作文では your(あなたと妻の) injured relation ということでしたが、これを your(あなたの) unfavorable relationship with her に直したいと思います。長々と言ってきましたが結局第3文を、Then you will have a happy ending to repair your unfavorable relationship with her.  に直したいと思います。第4文の形容詞 blithe「陽気な、屈託のない」は軽率や不注意をふくんだ、どちらかといえば軽蔑の言葉ですから、人に対して使われるのであって、この第4文の主語 idea に対して使うのは不適です。よって第4文は、Well, am I too blithe ? くらいにするのが良いと思います。中将が自虐的に言葉を添えた、という感じですね。

Then Tou-no-Chujo said, "Suppose a lady you think charming has an affair with someone.  It is a serious matter, isn't it ?  But if you are doing nothing unfaithful and kind enough to overlook her, you will be able to be reconciled with her.  No, I am afraid things will not always go so well."

N君:僕の作文では夫が不実をはたらくものと決めつけて書いて、第2文で筋が通らなくなったのですが、S先生の作文では妻が不倫している状態を想定して、上手に筋を通していることが分かりました。どちらの場合もあるのでしょうが、要は「原文から離れすぎることなく英作文全体として筋を通すこと」であろうと思いました。