kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第528回 2022.8/28

N君:今回から6~7回にわたってS先生から頂いた「旧約聖書・新訳聖書からの金言」を紹介します。旧約聖書から30個、新訳聖書から27個、あるので10個くらいづつ取り上げていきたいと思います。まずは旧約聖書の金言 Maxims from Old Testament から始めます。

(1) In the sweat of thy face shalt thou eat bread.

thou は you の単数形主格、その所有格が thy です。shalt は shall の二人称単数現在形で義務を表します。強意のため助動詞が前に出ているのでしょう。分かり易く書き直すと   In the sweat of your face you shall eat bread. 「額に汗してパンを食うべし」となります。つまり日本の格言「働かざる者食うべからず」に似た金言でしょう。

(2) Dust thou art, and unto dust shalt thou return.

thou は you の単数形主格、art は be動詞で are に当たります。「汝塵なれば塵に帰るべし」とのことで、「小者は結局小者」みたいな意味でしょうか。

(3) Man doth not live by bread alone.

doth は does に当たります。「人はパンのみにて生くるにあらず」。物を食うだけでは動物と同じ、その上に精神的な満足が必要、ということでしょう。

(4) Naked came I out of my mother's womb, and naked shall I return thither.

womb は「子宮」の意。thither=there=into her womb の意でしょう。「我裸にて母の胎内より出で来たり、また裸にて彼処に帰らん」はどういう意味でしょうか。織田信長の言葉「起きて半畳、寝て一畳」みたいな意味でしょうか。

(5) Our days on the earth are as a shadow.

as は like と同じ。「我らのこの世にある日は影の如し」は「この世は仮の旅」みたいな意味か。秀吉の辞世「難波のことは夢のまた夢」に通じている気がします。

(6) Thou shalt come to thy grave in a full age, like as a shock of corn cometh in in his season. 

Thou=you, shalt=shall, thy=your, like as =like=as, shock「束」、cometh=comes, -(e)thは三単現を表す-(e)s に相当する。corn を擬人化して his で受けている、と考えられます。「汝齢(よわい)充つれば、あたかも麦束の時至りて納屋に入るが如く、墓に入らん」。納屋は書かれていないが想像で補いました。人生のはかなさを嘆いた一句です。「はかない」の形容詞は ephemeral and evanescent でしょうか。

(7) Who is this that darkeneth counsel by words without knowledge ?

関係代名詞that の先行詞は who です。darken という動詞の三単現が darkeneth です。counsel「協議、助言、忠告」。「無知の言葉もて教えの道を暗からしむる者は誰(た)そ」。

(8) Though I walk through the valley of the shadow of death, I will feel no evel : for thou art with me ; thy rod and and thy staff they comfort me.

thou art = you are,   thy rod and thy staff = your rod and your staff = they であり、このyou はエホバを指しています。rod「杖、鞭」、staff「杖、ささえ」。「我たとえ死の影を歩むとも災いを恐れじ、汝(=エホバ)我と共にいませばなり、汝(=エホバ)の杖と支え我を慰む」。人生を達観した人の言葉でしょう。

(9) As for man, his days are as grass : as a flower of the field, so he flourisheth.  The wind passeth over it, and it is gone.

flourish の三単現が flourisheth,  pass の三単現が passeth に当たります。as は like と同じです。第1文後半は as ~, so ~ の構文で、field の後に flourisheth が省略されています。「人の命は草の如くその栄えは野の花に似たり、風ひとたび吹き過ぐれば失せて跡形もなし」。平家物語「猛き者も遂には滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ」を思い出しますね。

(10) They that sow in tears shall reap in joy.

指示代名詞が関係代名詞の先行詞になることは通常の英文ではありえないことですが、格言ではたびたび見かけます。ここでは They=Those でしょう。この shall は予言です。「涙にくれて種蒔く者は歓喜に充ちて刈り取らん」。No gains without pains.「痛みなくして収穫なし」という諺の源流となった金言です。