2021-04-05から1日間の記事一覧
桐壺35:かぎりあればれいの作法にをさめ奉るを、はは北の方、「同じけぶりのぼりなむ」と泣き焦れ給ひて、御送りの女房の車に乗り給ひて、をたぎといふところに、いといかめしうその作法したるに、おはし着きたるここちいかばかりかはありけむ。 いつまでも…
桐壺34:よろしきことにだに、かかる別れの悲しからぬはなきわざなるを、ましてあはれに言ふかひなし。 当り前の夫婦であってもこうした死別は悲しいものだが、まして若君を残しての母の死ということになると、帝は言うべき言葉を失った。 N君:Grief for th…
桐壺33:なにごとかあらむともおぼしたらず、さぶらふ人々の泣きまどひ、うへも御涙のひまなく流れおはしますを、あやしと見奉り給へるを。 幼い赤ん坊は何が起こっているのかもわからず、ただ側仕えの女房たちが泣きじゃくり父帝も絶えず涙を流していらっし…
桐壺32:御子はかくてもいと御覧ぜまほしけれど、かかるほどに侍ひ給ふ例なき事なれば、まかで給ひなむとす。 帝はこんな不慶事の最中でもずっとこの子を見ていたいと思ったが、実の母が亡くなったというのになお宮中にひきとどめておくというのは前例のない…
桐壺31:きこしめす御こころまどひ、なにごともおぼしめし分かれずこもりおはします。 悲報をお聞きになった帝はひどく狼狽して前後不覚となり御寝所へひきこもってしまった。 N君:The moment He heard the sad news, He was terribly dismayed, became hal…
桐壺30:御使ひの行きかふほどもなきに、なほいぶせさを限りなくのたまはせつるを、(更衣家人)「夜中うち過ぎるほどになむ、絶えはて給ひぬる」とて泣きさわげば、御使いもいとあへなくて帰り参りぬ。 帝は桐壺更衣の安否を心配して気が気でないとおっしゃっ…