2021-03-30から1日間の記事一覧
桐壺10:はじめよりおしなべてのうへ宮づかへし給ふべききはにはあらざりき。 この桐壺更衣という女性は、四六時中帝の身の回りの世話をするようなありきたりの身分ではなかった。 N君:オイオイ主語はどこいったーー と叫びたくなるような出だしですね。 Th…
桐壺9:一のみこは右大臣の女御の御はらにて、寄せ重く疑ひなき儲けの君と世にもてかしづき聞こゆれど、この御にほひには並び給ふべくもあらざりければ、おほかたのやむごとなき御思ひにて、この君をばわたくしものにおもほし、かしづき給ふ事かぎりなし。 …
桐壺8:いつしかと心もとながらせ給ひて、急ぎ参らせて御覧ずるに、めずらかなるちごの御かたちなり。 帝はまだかまだかと気をもんで待っていたが、生まれたと聞いて急いで駆けつけて御覧になったところ、その若君のなんと美しいこと、この世にたぐいなきが…
桐壺7:さきの世にも御ちぎりや深かりけむ、世になく清らなるおのこ御子さへ生まれ給ひぬ。 前世からのよほど深い縁があったからだろうか、帝と桐壺更衣との間にそれはそれは美しい玉のような立派な若君がお生まれになった。 N君:古文では「前世からの縁」…
桐壺6:父の大納言は亡くなりて母北の方なむいにしへの人の由あるにて、親うち具しさしあたりて世のおぼえ花やかなる御かたがたにもいたう劣らず、なにごとの儀式をももてなし給ひけれど、とりたててはかばかしきうしろみしなければ、ことある時はなほよりど…