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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第66回 2021.5/23

桐壺6:父の大納言は亡くなりて母北の方なむいにしへの人の由あるにて、親うち具しさしあたりて世のおぼえ花やかなる御かたがたにもいたう劣らず、なにごとの儀式をももてなし給ひけれど、とりたててはかばかしきうしろみしなければ、ことある時はなほよりどころなく心細げなり。

桐壺更衣のお父さんは大納言であったが既に亡く、お母さんである北の方は由緒ある家の出であったから、今現在両親が健在で世間の評判も華々しいお妃がたにも特段劣ることのないように、あれこれの儀式の準備はしていた。とはいっても父のない身の上ではそれに代わる後ろ盾もなかったので、なにか行事のある時はどこか頼りなく心細げに見えた。

N君:身分の高い人の正妻を北の方と呼ぶそうで、古文を読んでいると頻繁に出会います。正妻は寝殿造りの北の一角に起居することが多かったためにいつのまにやらそう呼ばれるようになったとのこと。秀吉の正妻ねねが北政所と呼ばれていたのもなにか関係があるのでしょうか。うしろみは後見人つまりパトロン、要するにお金を出してくれる人ですね。宮中にあがるとなると何かと物要りだったでしょうね。

Kiritsubo's father used to be in the high post of Dainagon but passed away long ago.  Her mother, Kitanokata, derived from a precious clan, has been exerting herself to support Kiritsubo so that she should not look shabby in comparison with the other Princesses who still have both parents and a good reputation.  However, Kiritsubo did not have a reliable patron who could serve her as the deputy of her late father. Therefore she looked lonely especially at the time of formal ceremonies.

S先生:第1文の pass away は die を婉曲に言う時の言い方で少し雅な感じになります。第2文の precious はいけません。この形容詞は a precious stone のように物に対して使うのであってここでは不適切。noble が良いと思います。主節の exert oneself to do は懸命に~する、の意ですね。so that節の中の should ですが、ここでは may とか might もあるかもしれないね。第3文の serve ですが意味的にちょっと違う気がします。月並みですが support でどうでしょうか。as the deputy of ですがこれはほぼ法廷用語「~の代理人として」といった感じになってしまうので、in place of くらいが良いと思います。late は「故~」ですね。知ってはいても使えるかどうかが問題。さて話は変わりますが、今回は used to との異同がいつも問題になる would often について両者を比較検討してみましょう。まず used to は「過去における常習的な状態なり行為なりを表し、言外に”今はそうではない”という意をふくむ」:There used to be a station here. (今はない) She used to go the museum on Sunday.(今はもう行ってない)。次に would often は「過去における習慣的な動作を表し、言外に”自分から進んでそれをやった”とか、”昔を懐かしく回想する気持ち”とかの意をふくむ」:He would often me in his boyhood.(彼が進んで助けてくれたことが懐かしい)。

Kiritsubo's father, "Dainagon(Grand Councillor)," was no longer alive.  Her mother, "Kitanokata," was from good lineage and well-educated.  So she was determined to do all she could for her daughter so that she might not fall behind the ladies whose parents were still alive and who had a good reputation at Court. But having no father and no supporters to help her, she looked lonely and helpless when she had to attend official ceremonies.

N君:僕の作文の硬い感じとS先生の作文の柔らかい感じが、きれいに対比できます。僕の場合、難しく恰好つけようとして結局おかしな感じになっています。