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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第209回 2021.10/13

桐壺149:いづれの御方も、われ人に劣らむ、と、おぼいたるやはある。

このお妃がたはどなたも皆、我こそは、とそれぞれに自信のある容貌ではあった。

N君:原義に沿って考えると「皆、自分が他の妃に劣っている、と思っただろうか、いや、そんな人は一人もいない」となる反語の文です。反語ということは、強い否定ということですよね。次回との兼ね合いもあって、ここだけを英訳しようとすると譲歩節のみで終わってしまって分かりにくくなります。ゆえに次回にまとめて英訳することにしました。

S先生:そうだね。では次回にまとめて英訳することにしよう。今日は早く終わったので英作談義をやります。でも今日は勉強の話じゃなくて「勉強する心構え」の話をします。講談社学術文庫から出ている厚めの単行本「漢文法基礎」加地伸行著¥1650 はとても良い本です。まずは冒頭の加地先生のひとことに度肝を抜かれる。「なぜこの本を書くのか。それには理由がある。そこらに転がっている漢文の受験参考書のひどさにあきれたからだ。」どうです。これだけで読みたくなるでしょう? その456ページに晁沖之(ちょうちゅうし)の七言絶句「暁行」が紹介されているのでちょっと読んでみよう。【老去功名意転疎 独騎痩馬取長途 孤村到暁猶燈火 知有人家夜読書】「老い去りて功名の意うたた疎なり。独り痩馬にのりて長途を取る。孤村暁に至りてなお燈火あり。人家に夜、書を読むあるを知る。」「歳をとっていまさら出世の望みもない。痩せた馬に乗って遠駆けをし、田舎のさびれた村に来てみると、夜明け前というのに明かりのともっている家がある。ああ、この家にはこんな時間に本を読んで勉強している人がいるんだなあ。」徹夜なのかそれとも早起きなのか、こんな寒村のみすぼらしい家にもこんな時刻に勉強している奴がいる。世捨て人となって何事にも熱心でなくなった自分も若いころはあんな時期があったなあ、という感傷と共に、残りの人生をもう少し色々なことに興味をもって過ごしてみよう、という元気を与えてくれます。若い人には分からないかもしれないが「勉強できるうちに勉強しておくことの大切さ」「そういう若い人を応援する年配者の感慨」みたいなものが溢れていて、私はこの詞が好きです。このブログを読んでいる若い人にも、昔の若者であった私から、何かを伝えられたらと思っています。

N君:technical なことを越えた「勉強の神髄」ですね。遊びの誘惑が多いのですが、時々S先生の言葉を思い出すようにしたいです。