2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧
帚木46・47・48:(源氏)「いでや、上の品と思ふにだに、かたげなる世を」と君はおぼすべし。白き御衣(おんぞ)どものなよよかなるに、直衣(なほし)ばかりをしどけなく着なし給ひて、紐などもうち棄てて添ひ臥し給へる御ほかげ、いとめでたく、女にて見奉らま…
帚木45:(左馬頭の言葉続き)すぐれてきずなきかたの選びにこそ及ばざらめ、さるかたにて棄て難きものをば」とて式部を見やれば、(式部)「我が妹どものよろしき聞こえあるを思ひてのたまふにや」とや心うらむ、ものも言はず。 もしどこといって瑕疵のない正妻…
帚木44:(左馬頭の言葉続き)父の年老い、ものむつかしげに太りすぎ、せうとの顔にくげに、思ひやりことなることなき閨のうちに、いといたく思ひあがり、はかなくしいでたることわざも、ゆゑなからず見えたらむかたかどにても、いかが思ひのほかにをかしから…
帚木41・42・43:(左馬頭の言葉続き)なにがしが及ぶべきほどならねば、上が上はうちおき侍りぬ。さて世にありと人に知られず、さびしくあばれたらむむぐらの門に、思ひのほかにらうたげならむ人の、とぢられたらむこそ、限りなく珍しくはおぼえめ。いかでは…
帚木39・40:(左馬頭)「もとのしな、ときよのおぼえうちあひ、やむごとなきあたりの、うちうちのもてなしけはひおくれたらむはさらに言はず、なにをしてかくおひ出でけむと、言ふかひなくおぼゆべし。うちあひてすぐれたらむもことわり、これこそはさるべき…