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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第701回 2023.2/16

古文研究法96-2 堤中納言物語より:(姫君の歌)子だにかくあくがれ出でば薫物(たきもの)の ひとりやいとど思ひこがれむ と忍びやかに言ふを、屏風のうしろにて聞きていみじうあはれにおぼえければ、児も返してそのままになむゐられにし。

姫君が「子供までもがこんなにソワソワと彷徨い出て行くのならば、薫物の火取りではないが、私独りでますますあなたのことを思い焦がれてしまうでしょう」と目立たぬように詠むのを、男は屏風のうしろで聞いてひどく感動したので、子供を姫君に返し、自分もそのまま姫君のところに腰を据えてしまいました。

N君:「あくがれ出づる」は「彷徨い出る」。「出でば」は「未然形+ば」なので仮定条件であり「もし~するのならば」です。前回に続いて今回も「書かれることなく主語が移り変わる」現象が見られるので解釈が難しいです。動詞の行動主体が誰なのか、注意深く見ていく必要があります。これができないと話の筋が見えなくなってしまいますから、とても大切なことです。古文難民のキモですね。

"If it would be not only you but also my son who goes out restlessly from my house, I would have been knocked down by lonliness. I might be burned to death by love for you like the incense burner."  He listened to her chant like this behind a folding screen and was moved by her true love.  He handed the boy to her.  Finally he came to stay permanently in her house.

S先生:第1文を仮定法で作文しようともがいている様子がうかがえますが、「子供が出て行くのは現実のことであって、実現不可能なことではない」、つまり仮定法を使うべき場所ではない、のです。したがってここは If not only you but also my son goes out restlessly from my house, I will be knocked down by lonliness. とします。普通の条件文で、前半の副詞節の内容は未来のことですが現在形で表現されています。中学生でも知っている普通の言い方で良いのです。第5文の he came to stay permanently in her house. の前置詞は in よりも at のほうが良いでしょう。

"If my boy leaves home with you in such a restless way, I will be put into such extreme distress as to go on longing for you by myself as hotly as an incense burns."  Deeply impressed to hear her chant a moving poem behind a screen, the man decided to return the boy to her and settle down at her house.

N君:先生の第2文後半の settle は desided に対応して settled とすべきだと思いますがいかがでしょうか?

S先生:なるほどそういう考え方もありますが、私としては decided to do の do のところに return と settle を持って来たつもりでした。ここはどちらもあり得るでしょう。