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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第567回 2022.10/5

古文研究法22 古今集仮名序:和歌(やまとうた)は人の心を種としてよろづの言の葉とぞなれりける。世の中にある人、ことわざ(しげ)きものなれば、心に思ふことを見るもの聞くものにつけて言ひ出だせるなり。花に啼く鶯(うぐひす)、水に棲(す)む蝦(かはず)の声を聞けば、生きとし生けるものいづれ歌を詠まざりける。力をも入れずして天地(あまつち)を動かし、眼に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女の仲をもやはらげ、猛(たけ)き武士(もののふ)の心をも慰(なぐさ)むるは歌なり。

和歌は人の心をもとにして色々な表現となっているのである。世の中に生きる人はさまざまな営みや仕事をすることが多いものだから、心に感じることを見るもの聞くものに関して表現しているのである。花に鳴く鶯や水に棲む蛙の声を聞くと、全ての人間は誰だって歌を詠まない者があろうか。力も入れないで天地を動かし、目に見えない精霊をも感心させ、男女の仲を調和させ、武人の心を和やかにするのは歌である。

N君百人一首No.35「人はいさ」を詠んだ紀貫之、彼が編纂した古今集の冒頭を飾るのは、やはり彼が書いた仮名序で、歌論の基礎の基礎、とも呼ぶべき文章です。「ことわざ」は「営み行うこと」つまり、仕事とかそれから来る経験とか、の広い意味です。「係助詞か+連体形」でいつもの係り結びではありますが、ここで大切なのは「いづれ」であって「反語」を構成しています。「鬼神」は「オニ」ではなくて「幽霊、霊魂」のような意味です。

A Japanese poem expresses various feelings derived from the depth of human mind.  Experiencing various things, a person alive in this world may express anything which has moved his or her heartstrings.  Hearing an Uguisu chirping on a branch of a plum tree and a frog croaking in the pond,  human beings never fail to compose poems.  It is a poem that can move heaven and earth with no human power, make invisible ghosts touched, reconcile the relationships between men and women, and compose a savage heart of a warrior.

S先生:第2文の alive in this world は無くても分かるので除外しても良いでしょう。第3文の an Uguisu は欧米人にも分かるように a nightingale としてみてはどうでしょうか。同じく第3文後半の human beings はちょっと大げさなので he くらいにしたいのと、それに続く二重否定 never fail to do「必ず~する」は be driven to do「~する気持ちに駆られる」のほうが適切だと思います。第3文の compose「作詞する、作曲する」と第4文の compose「和らげる、心を静める」が奇しくも出て来たのでこの際整理しておきましょう。compose というのは要するに「バラバラだったものを組み立てて構成しキチンとした恰好にもっていく」のようなイメージの動詞です。曲を作ったり、小説を書いたり、荒れた心を整理したり、、、という意味です。第4文の men and women で正しいのですが、これを women and men とはあまり言いません。これは男女差別などということではなくて、men and women のほうが発音し易いからだと思います。

Japanese traditional poems, based on human feelings, creat various expressions.  People who have experienced much of life express emotionally what they see and hear.  Who do not compose poems when they hear nightingales chirping on the plum blossoms and frogs croaking in the rice field ?  It is poetry that moves the universe with no human power, make us realize the existence of invisible spirits, soften the relationships between men and women, and make peaceful the fighting instinct of brave warriors.

N君ナイチンゲールが鶯だったとは驚きました。S先生の第3文冒頭の Who を複数扱いして do not ~ と続いていますがこれでよいのですか?

S先生:一般的には who は単数扱いされて does not ~ となるのが普通です。しかしこの場合は文脈から考えて敢えて複数扱いにしました。大半は単数、たまに複数、と考えてもらって結構だと思います。それよりも、こういうところに気付いたことを褒めたいです。

N君:第4文の最後のところで make のすぐあとに peaceful が来たのは何故ですか?

S先生:SVOC の O が重くて C が軽い場合に「C を先に出して O をあとにする」ということがたまにあります。この場合でも普通に make the fighting instinct of brave warriors peaceful.  と作文して何も間違いではないしそう書く人もいるでしょう。しかしここでは「軽前重後」の原則に従って peaceful を前に持ってきたのです。たまにこういうことがあるので驚かないようにして下さい。