kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第564回 2022.10/2

古文研究法20-2 枕草子:のぼらむとてその縄をなむ引くとか。まどひ(く)り入るるさまぞ理(ことわり)なるや。舟の端(はた)をおさへて放ちたる息などこそ、まことにただ見る人だにしほたるるに、落とし入れて漂(ただよ)ひありく男は、目もあやにあさましかし。

女は浮かび上がろうとしてその綱を引っ張るという。男があわててその綱を手繰り込む様子は本当にもっともなことだ。水面に顔を出した女が舟ばたに手を掛けて吐き出す息なんかは、ただ見ている人だって可哀そうで涙がこぼれるのに、女を水に放り込んで自分だけ水上を行く男は(私から見て)むしょうに驚きあきれる

N君:主語・目的語がバンバン省略される上に分からない形容詞や動詞が登場して、話の筋が全く見えなくなってイヤになる、これが古文というもの。今回の部分はそれを地で行く難所です。一般に主語は敬語使いで類推できるものですが、今回は敬語は一切ありません。昔の人というのはどうしてこんなに無神経に主語や目的語を省略したのでしょうかね。「まどふ」は現代語では「迷う」くらいの意味ですが昔は「あわてふためく」という感じです。「しほたる」は、潮垂る、で「涙で袖が濡れる」の意です。これは僕も知っていました。「目もあやなり」は「まぶしいほど立派だ」の意と、反対に「目をまわすほどに酷い」の意がありますが、こういう形容詞にしろ形容動詞にしろ連用修飾で使われた時には「とっても」という感じで、ただ単に物事の甚だしさを描写するだけの働きになっていることが多い、と小西先生が書いていました。現代語でも「ばかに遅いなあ」などと言う時、「ばかに」には「馬鹿」とか「阿呆」とかいう意味はありません。形容詞「あさまし」は重要で「驚き呆れる」の意。これは有名なので僕もギリギリ知ってました。

I hear a woman working in the water will pull the rope when she wants to come to the surface.  It is natural that a man will hasten to reel the rope.  Seeing a woman who has emerged from the water breathe hard with her hands put on the edge of the boat, you are inclined to shed tears out of pity, though you are just a looker-on.  I am very surprised at his cruelty because he, at his ease on the boat, makes women jump into the sea.

S先生:まずまずではありますが何か所か言いたいことがあります。第1文および第2文で使われた will は意志を表しているのか、あるいは現在の習慣をあらわしている、とも受け取れます。will を使ったことは間違いではないですが、ここは will を使わずに普通に現在形を使って何も問題ない所だと思いました。第3文前半の分詞構文では see+O+原形 が使われていますが、see+O+現在分詞 の可能性も考えて欲しかった。たとえば I listened to her play the piano.  では「始めから終わりまで聴いた」という感じがあるのですが、I listened to her playing the piano.  ならば「弾いてる途中を聞いた」という感じになります。本文では、女が水中から上がってきて大きく息をしているのを始めから終わりまで注視していたわけではなくて、大きな息を数回しているところを見かけた、という場面ですから、breathe よりも breathing のほうが適切だと思いました。名詞の breath と動詞の breathe に注意しておきましょう。発音の違いにも注意です。第4文の because は別に間違いではないですが「同格の that」に入れ替えることで文が締まるでしょう。今回はいつもに比べて高尚な指摘になりました。それだけ英語力が付いてきた証拠だと思います。

Women are said to pull the rope trying to rise to the surface.  Naturally, men pull it up in a flurry.  When women have surfaced, they breathe deeply with their hands on the side of the boat.  If you see them tormented, you will be forced to feel pity for them and shed tears.  I cannot but be shocked to see men spend time leisurely on the boat without worrying at all about the women under the sea.