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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第560回 2022.9/28

古文研究法19-1 徒然草:久しく隔たりて会ひたる人の、我が方にありつること、数々に残りなく語り続くるこそあいなけれ。隔てなく慣れぬる人も、ほど経て見るは、はづかしからぬかは次ざまの人あからさまに立ち出でてもけふありつる事とて息もつぎあへず語り興ずるぞかし。よき人の物語するは人あまたあれど一人に向きて言ふを、おのづから人も聞くにこそあれ。

長く間を置いて久し振りに会った人が、自分の方であった事をあれこれとすっかり話し続けるのは興ざめだ。分け隔てなく親しんでいる人だって久し振りに会う場合は、どうして遠慮しないだろうか、いや必ず遠慮の気分があるはずだ。ひとつ下の階層の人は、ほんのちょっと出かけても今日こんなことがあったよと息もつけぬくらいに面白がって話すものだ。教養の高い人が話すのは、聴き手が大勢いてその中の一人に向かって言うとしても自然と一座の人々も耳を傾けることになるのだ。

N君:形容詞「あいなし、あひなし」は「つまらない、面白くない、興ざめだ」の意。「かは」は反語。「つぎざまの人」は「下の階層の人」。形容動詞「あからさまなり」は「一時的な、ちょっとした」は非常に重要で試験にも頻出です。「動詞+あふ+否定語」は「完全に~しきれない」くらいの意味であり、百人一首No.32春道列樹(はるみちのつらき)「山川(やまがわ)に風のかけたる柵(しがらみ)は流れもあへぬ紅葉なりけり」にも出てきました。「良き人」は「教養人」で、ここでは「つぎざまの人」の対語として使われています。

I am discouraged by a man, whom I have not seen for a long time, talking serially and one-sidedly about his own experiences without any reserve.  Even a man, with whom I am familiar, must care about the courtesy etween friends.  The people of a lowly rank tend to breathlessly speak in a very amusing way about what happened that day, though they just went out to see the event incidentally.  On the other hand, when a cultivated person speaks calmly to one of many audiences, they naturally come to listen to him.

S先生:自分なりに工夫して作文していて好感が持てますが、第1文はちょっと不自然です。まず I を主語にしてしまうとどうしても個人的な意見表明になってしまうので、このような場合は You を主語にすると一般的な感じになって良いでしょう。まあそのことは置いといて、この文の後半に出てくる talking は形容詞用法で a man を修飾しているつもりだと思うのですが、間に関係詞節が入っていてあまりにも遠い。この点が不自然です。ここは思い切って文の構成を変えて It is boring that a man, whom I have not seen for a long time, talks ~ としてみてはいかがでしょうか。こっちのほうがはるかに自然な流れです。第3文に出て来た many audiences ははっきりいけません。audience は基本的に不可算名詞なのでこのような使い方はありません。観客・聴衆・読者のような意味で集合的に可算名詞となることもできるので、ここは a large audience くらいに変えましょう。

It makes you really boring to hear a man, whom you hanen't seen for a long time, talking on and on about what he has experienced.  Even a man, who is on friendly terms with you, should be modest when he meets you after a long time.  The people of the lower class will talk amusingly about one thing after another they have seen and heard while they are out for a short time.  However, when a cultured man talks, all the audience will listen to him even if he is speaking to one of them.

N君:S先生の第1文でも a man と talking が離れていて間に関係詞節が入り込んでいますが、これはOKなのでしょうか?

S先生:この場合は hear+O+~ing という比較的強い結びつきのある構文において O の後に関係詞節が割り込んできた格好になっているので、N君が作文した形容詞用法の ~ing とは違います。このあたりは微妙なニュアンスですが、この構成ならセーフくらいの感じで受け取ってください。

N君ファンデルワールス力による結合はちょっとした邪魔がはいるとすぐに崩壊するけど、共有結合金属結合は少々邪魔が入っても壊れない、という感じでしょうか。

S先生:たとえが理系過ぎて私には分からないが、まあそういうことです(笑)。

N君:先生の第3文、第4文に出て来た will は単に「~だろう」という意味ではないような気がするのですが、、、。

S先生:よく気付いたね。これらの will は単純な意志や未来を表しているのではなくて習慣「~なものだ」を表しています。このあたりの感度が上がってきている、ということはN君の英語力もアップしてきている証拠ですね。第4文の中で speak と talk が使われていることにも注目して欲しい。意味がどうこう、ということではなくて「同じ文の中では同じ語はできるだけ避けて言い換える」ということなのです。

N君:さすがにそこまでは気付きませんでした。これまでこの手のことがらを見逃してきたような気がします。何気ない場所に結構大切な事が潜んでいるのですね。