kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第554回 2022.9/22

N君:古文研究法の途中ですが、これまでの勉強で疑問に思ったちょっとしたことが色々あったので、今日はそれを解決しておきたいと思います。(1) There is none of the wine left.「残っているワインはありません」のように none of +単数名詞 を単数扱いするのは分かります。一方で none of +複数名詞 を単複いずれで扱うべきか、ということをお尋ねしたいです。

S先生:None of the boys were as yet ten years old.「誰も10歳になっていなかった」に対して、None of the boys was as yet ten years old. の場合は強調の意味が強くなって「誰一人として10歳になっていなかった」となります。単複問題は色々なかたちで噴出してきます。たとえば government は米国では単数扱いで The government has fallen. などと書かれるのですが、英国では複数扱いであり The government have broken all their promises. などと書かれるのです。

N君:どんどんいきます。(2) He read her letters home. という文を見ました。これはどういう文ですか?

S先生:この home は副詞の形容詞用法でしょう。「家への手紙」つまり「家族宛ての手紙」の意味だと思います。

N君:(3) More careful examination of the behavior of the criminal may reveal the personarity trait of him.「服役者の行動をもっと注意深く検査するとその人の性格が分かるかもしれません」という文ですが、reveal の目的語に違和感があります。the personarity trait of him は明らかな誤りで、少なくとも the personarity trait of his でなければならない、と思います。しかしこれも不自然であり、his personal trait とか、あるいは the trait of his character とすべきだと思います。

S先生:You are right !  

N君:(4) Though not knowing what words on earth made his boss so angry, Kenny apologized to him.「ケニーはいったいどの言葉が社長をそれほど怒らせたのか分からなかったが、どりあえず謝った」という文なのですが、what words のところを which word にしてもよろしいか ?

S先生:which word にすると「数ある言葉の中のある一つの特定の言葉」というニュアンスになります。what words の場合は「全体として自分の発言のどのあたりが」という感じになります。この原文の雰囲気から考えると what words で良いだろうと思います。

N君:(5) More and more people seldom write a handwritten letter anymore now that they have got used to an e-mail.「今やますます多くの人がメールに慣れてきたので、めったに手書きの手紙など書きません」という文がありました。この文の中に単複問題があります。a handwritten letter は handwritten letters のほうが自然だと思いますし、e-mail は不可算名詞ですから an e-mail は変です。

S先生:handwritten letters のほうが自然ですが a handwritten letter でも別に間違いというわけではありません。an e-mail は誤りで単に e-mail とすべきです。欧米人もこういうところでけっこう間違うんですね。

N君:(6) There remains a question as to whether the consumption tax should be raised or not so as to secure a source of revenue.「歳入源を確保すべく消費税を上げるべきか否かという問題がまだある」という文なのですが、a question は as to whether the consumption tax should be raised or not という句によって限定されているのですから、the question とすべきではありませんか?

S先生:as to whether ~ のことを考えるよりも、There remains ~ は There is ~ の変形ですからその線で考えてみましょう。There is a cat in the kitchen. の場合、the cat とはなりません。昔話にも There once live in Greece a very wise man.「昔々ギリシャにとても賢い男が住んでいました」となります。定冠詞ではなくて不定冠詞になっていますね。同様にこの文でも There remains a question ~ が正しいです。

N君:(7) Eventually it will be up to the personnel manager which person among the five applicants is adopted.「5人の応募者のうち誰が採用されるかは結局人事課長次第です」という文がありましたが、この which person among the five applicants is adopted は it を受けた名詞節なので is ではなくて will be にすべきだと思います。

S先生:You are right !  副詞節の場合は内容が未来のことでも現在形で書く、というならわしがあるのですが、この文は副詞節ではなく名詞節ですから、内容の通り will be にすべきでしょう。

N君:(8) Such a business practice cannot be recommended as it is not in conflict just with a financial matter but with an ethical one.「そのような営業活動はお薦めできません、というのは、それは財政問題のみならず倫理問題にも抵触するからです」みたいな文が出ていました。まず as はどうなのか?という気がします。普通に because でよいと思います。そのことはどうでもよいのですが、not の位置が変だと思います。not はここではなくて in conflict の後ろ、つまり just の前に持って来るべきだと思います。こうすることで not only ~ but also ~ の構文になると思います。

S先生:as は古臭い感じがするので because のほうが自然な気がします。not の位置を後ろにずらして it is in conflict not just with a financial matter but with an ethical one とすることに私も賛成です。原文はなんだか変な英文ですね。

N君:今日質問したものは全て英語の学習書から採ったものです。けっこう間違っているんだな、と思いました。

S先生:紙に印刷されているからといって正しい英文とは限りません。かなり以前に紹介したことがありましたが、1854日米和親条約の原文を英文と和文で読み比べてみると信じ難い誤訳があります。しかも複数個所あります。公文書でさえそんな有様なのですから、英語学習書くらいの記述を鵜呑みにしてはいけませんよ。常に自分の頭で考え、分からぬ点はメモしておいて上級者に尋ねるようにしていきましょう。かく言う私も分からぬことだらけです。