kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第479回 2022.7/10

百人一首No.57 紫式部:めぐりあひて見しやそれともわかぬ間に 雲がくれにし夜半(よは)の月かな

友達に久しぶりに会ってその人かどうかちゃんと見分けもつかない間に、雲間に隠れた夜更けの月のように、あの人は慌ただしく姿を消してしまったなあ。

N君:夜半は夜中・夜更けの意です。

Although I came across a close friend of mine after a long interval, she hastily went out of my sight as if the moon tonight were hiding herself behind the clouds.

S先生:細かいことですが of mine はあるほうが良いですね。hastily を前に出して went out of my sight と続けたのは正解でした。as if の中身は仮定法です。

After a long separation I saw an old friend of mine.  But she went away before I knew like the moon hidden in the clouds.

MP氏:Was it you that I met after all this time ?  You were gone so quickly like the midnight moon disappearing behind clouds.

S先生:久しぶりに日英ことわざ比べをやりましょう。

(1) 旅は道連れ世は情け→一人より二人が良い→分け合うことで喜びは倍となり悲しみは半分になる:When shared, joy is doubled and sorrow halved.

(2) 漁夫の利→2匹の犬が骨をめぐって争っている間に3匹目がその骨をくわえて逃げる:Two dogs fight for a bone and a third runs away with it.

(3) 木を見て森を見ず→細かいところを見ようとすると大事なことをミスする:If you focus on details, you miss the main point.

(4) 苦しい時の神頼み→苦しい時だけは祈る→沖へ出さえすればもう祈らない(地上ではあんなに祈ったのに):Once on shore, we pray no more.

(5) 君子危うきに近寄らず→溺れるのが怖い人は井戸に近寄らない:He that fears drowning comes near no wells.

(6) カエルの子はカエル→若い豚も年寄りの豚と同じように鳴く:The young pig grunts like the old sows.  sow は雌豚、saw はノコギリ、sewing は裁縫、sewer は下水道。これらの単語は発音も大切なので整理しておくと良いでしょう。また grunt は「豚がブウブウ鳴く」という意味もありますが complain に近い意味も持っています。

(7) 蟹は甲羅に似せて穴を掘る→小鳥は小さな巣で充分:A little bird is content with a little nest.  この content は形容詞で satisfied より少し意味が弱く、アクセントは後ろにあります。一方、名詞の content「中身」のアクセントは前にあります。アクセントについては「名前動後」などと言われていますが、要するに用言では後ろにアクセントが来ることが多いということなのでしょう。

(8) 一葉落ちて天下の秋を知る→一本の麦わらが風の向きを教えてくれる:A straw shows which way the wind blows.

(9) 恨みに徳をもって報ず→許しと笑顔は中傷に対する偉大な報復である:Pardons and smiles are great revenges for slanders.

(10) 馬の耳に念仏→船尾に向かって讃美歌を歌う:Sing psalms to the taffrail.

K先輩和泉式部に「けしからぬかたこそあれ」と言い放った身持ちの良い紫式部ですが、彼女の著した世界初の本格的長編小説「源氏物語」は何故こんなにドロドロしているのでしょうか。はっきり言って、不倫と近親相姦に満ちているのです。淫書と蔑まれた時代もあったそうですが、そこはかとなく漂う高貴な香りと文学性とが、人々の支持を生み今日へと受け継がれました。枕草子徒然草に比べて明らかにワンランク上の難しさを持っており、読んでも分からぬことが多くて投げ出したくなります。桐壺、帚木、空蝉、夕顔、、、、と続いて最終の夢浮橋まで50章を越える長い話で、厚めの単行本にして優に10巻を越えます。意気込んで読み始めても帚木あたりで熱も冷め諦めてしまう人が多いため「帚木読み」などと揶揄されることがあります。今回N君も古典英訳を志して、長恨歌~桐壺~帚木~百人一首、、、と来たわけですが、源氏物語は帚木までで一旦休止となりました。無理もありません。終わりが見えませんからね。桐壺と帚木のわずか2章分だけで、このブログの第61回から第421回までを費やしたのですから、その長大さが思いやられますね。

さて最近私は滋賀県石山寺に行ってきました。紫式部源氏物語を書いた、と伝わる寺です。京都市二条の駅から地下鉄東西線に乗って東へ向かい、御陵(みささぎ)という名の駅で京津線に乗り換えて更に東へ進みます。すると地下鉄だったはずが普通の電車となり、大津市に入ると路面電車になってしまいます。終点はびわ浜大津。ここは琵琶湖南端の西岸にあたります。ここから北へ行けば比叡山東麓の坂本。坂本は室町時代の馬借で有名ですし、「麒麟が来る」の明智光秀居城があったところ。反対に南へ行けばその終点が石山寺です。つまり石山寺は、琵琶湖から淀川が南へ流れ出す「瀬田の唐橋」のすぐ傍にあります。珪灰岩という特殊で綺麗な岩から成る山の上に寺があり、日本の鉱物史上有名な場所らしいです。この寺の和尚さんが青鬼になって我々の無病息災を祈ってくれているそうで、年に1回「青鬼祭り」が開かれるそうです。私は青鬼の団扇を買いました。500円でした。本堂の向かって右に紫式部の仕事部屋があって人形が置かれたりしています。1000年前に紫式部がここで源氏物語を書いたのかと思うと感慨深いものがありました。

これも最近ですが、宇治市源氏物語ミュージアムへ行ってきました。京阪宇治線の終点が宇治です。宇治川にかかる宇治橋の、向こう側に平等院・こちら側に源氏物語ミュージアムがあります。人形劇が放映されていたりして必見です。近くに函館市場という名の回転寿司があるので試してみてください。絶品です。