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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第359回 2022.3/12

帚木180:(式部の言葉続き)かの馬の頭の申し給へるやうに、おほやけごとをも言ひ合はせ、わたくしざまの世に住まふべき心おきてを思ひめぐらさむかたもいたり深く、(ざえ)の際(きは)、なまなまの博士はづかしく、すべて口あかすべくなむ侍らざりし。

さきほど左馬頭殿が言われたように、この女は妻としては大変頼りになるところがある者で、公の事を相談する時も、また私生活上の世俗のあれこれ心がけを巡らすという事でも、いたって思慮深くて、その学識は生半可な博士などは裸足で逃げ出そうかというほどで、公私万端にわたって何事も、こっちが口を出すことすら難しいというくらいの偉い女でございました。

N君:指食い女・琴女・失踪女とはまた違った面白い話になりそうです。

As Lord Samanokami mentioned, she was a very reliable woman as a regal wife.  She was familiar with everything whenever I might consult her about both official and private matters.  She was so discreet that a half-baked expert should be embarrassed at her profuse knowledge.  At any rate, she was wise to the extent which men can hardly intervene in her all conduct.

S先生:今日のところは短いですが色々と大切なことがあります。第1文の mention には目的語が見当たらないので、N君は自動詞として使っているのでしょうが、「そもそも mention には自動詞がない」ので、As Lord Samanokami said, とするのが自然で良いと思います。たしかに、as above mentioned「前述の如く」、as has been mentioned「既に述べたように」という言い方はあるのですが、このような場合には主語がない、つまり、as は接続詞ではなくて関係代名詞なのです。この議論は非常に難しいのでちゃんと知りたいなら、中原道喜先生の新英文読解法76~79ページをじっくり読んでください。第3文の a half-baked expert「生半可な達人」はなかなか工夫した言い方で、とても良かったのですが、expert とするより素直に scholar にするほうが良いでしょう。第4文の to the extent which ~ 以下の節には、men という主語があり、all her conduct という目的語もあるので、which が宙ぶらりんになっています。どうしても to the extent を使いたいなら、格を必要とする関係代名詞which ではなく、接続詞that を用いるべきです。私としては to the extent を使わずに、At any rate, she was so wise that no one could intervene in anything she did , whether it was official or private. くらいにしたいです。今回は、接続詞と関係代名詞の違いについて考えるきっかけを与えてくれる題材が、偶然にもふたつ並んで登場しました。

As Lord Sama-no-Kami said, she was dependable enough for a wife.  When I consulted with her about things public or private, she never failed to give me discreet answers.  As for her scholarship, she was so intelligent that no ordinary scholar was a match for her.  Nobody was able to argue with her about anything, whether it was official or private.

今回は as(前置詞・関係代名詞・接続詞) の問題がクローズアップされましたが、これは大切な事なので近いうちに場所をとってしっかりまとめておくつもりです。さて今日の英作談義では「強制力の強さ」について語ってみましょう。助動詞で言うと、must > have to > had better > ought to > should の順に強制力が強いと言われています。生徒は should「~すべきである」、had better「~したほうがよい」と思っているようですが、そういう思い込みを改める必要があります。助動詞以外では be expected to do > be supposed to do がありますね。You are supposed to come tomorrow.「来て下さい」は穏やかですが、You are expected to come tomorrow.「来なければいけません」はかなり強制力がありますね。日本語にしてしまうと違いがわかりにくくなってしまうのですが、英文のニュアンスを感じることが大切です。