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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第337回 2022.2/18

帚木128・129・130・131:中将、「そのたなばたの裁ち縫ふかたをのどめて、長き契りにぞあえまし。げにその竜田姫の錦には、またしくものあらじ。はかなき花紅葉と言ふも、をりふしの色あひつきなく、はかばかしからぬは、露のはえなく、消えぬるわざなり。さあるにより、かたきとは、定めかねたるぞや」と、言ひはやし給ふ。

中将は「その七夕の織姫の腕前の方がもう少し下がってもいいから、その分、七夕の逢瀬のように長い契りを全うする、というふうにいきたかったね。また確かに、その竜田姫の錦や紅葉の色彩には勝るものもないけれど、それだって時には色合いがよろしからず、下手くそに染めた時には色の映えもなく消えてしまうことがありましょう。だからね、妻選びはつくづく難しいと、議論が定まらぬわけなのでしょうかね」などと、うまいことを言い囃す。

N君:左馬頭以外の人のセリフを久し振りに聞きました。古語辞典によると「世」にはいろいろな意味があり、その中のひとつに「男女の仲、夫婦仲」というのがありました。そこから派生して、林望先生著「謹訳源氏物語」では文脈に合わせて「妻選び」というふうに訳されているのでしょう。

Chujo added a whitty comment, "I don't mind if her skill to weave cloth is inferior to Orihime's, but I hope the tryst with her would succeed like that with Orihime in the ancient tale.  It may be true that she had a splendid ability to dye cloth, which was equal to Tatsuta-hime's , but I suppose she was not always good at the work.  There would be some occasions when the cloth's texture was bad or the vividness was about to vanish.  After all, what I want to say is that choosing a wife from many women is quite difficult.  Concerning this question, we never have a definite conclusion."

S先生:今日はだいたい良いのですが3か所だけ小さな指摘をさせてもらいます。第1文の Chujo added a whitty comment, "、、、" という構成を見て何かおかしいと思いませんか? 他動詞 add の目的語が、comment および "、、、" のふたつになってしまっているのです。added whitty, "、、、" とすれば、簡潔になった上に文法的にもスッキリするでしょう。第2文末の in the ancient tale は説明的すぎるので除外するほうがよいと思います。第5文の choosing a wife from many woman の前置詞 from ですが、こういうところは今後是非とも from amang というふうにして下さい。この形は二重前置詞の典型的な用例です。今回のN君の作文は、私の作文と比べて、内容の解釈が一部異なってはおりますが、英文としての間違いはほとんどなくて、立派な出来だと思います。

Chujo said whitty, "Leaving aside her skill in sewing, you should have got along well with her forever as Kengyu and Shokujo meet in the Milky Way once a year.  Indeed Princess Tatsuta is superior to anyone in dying a robe beautifully red.  But even the Princess, sometimes failing in dying, does not always make a tone of color perfect.  It is very difficult for us men to choose an ideal wife, I think.  There seem to be no fixed principles about it.

N君:第2文の you should have got along well with her forever は「左馬頭くんはその女性といつまでもうまくいけばよかったのにね」のような意味でしょうか。

S先生:その通りです。should+have+過去分詞 は「実現しなかった昔の事を振り返りながら残念さを込めて述懐する」という感じで「~であったらなあ」と訳すことが多いです。ちなみに米国では get-got-gotten ですが、英国では get-got- got なので、この作文では英国風に書いています。

N君:その第2文後半の as節の中にある動詞 meet は、時制一致の法則からして met が正しいと思いますが、いかがですか。

S先生:牽牛と織女は今も1年に1回逢っているわけですから、時制を一致させずに、あえて現在形で書きました。普通なら過去形で書くべきところを、あえてはずしたというわけです。ここに気付いたN君は立派ですよ。

N君:第6文末の it は、前文の to choose an ideal wife を受けている、と思いますがそれでOKですか?

S先生:OKです。私のような英語教員が学校の試験で出題したくなるポイントだね。