kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第298回 2022.1/10

帚木53:(左馬頭の言葉続き)とあればかかり、あふさきるさにて、なのめにさてもありぬべき人の少なきを、すきずきしき心のすさびにて、人のありさまをあまた見あはせむの好みならねど、ひとへに思ひ定むべきよるべとすばかりに、同じくは我が力いりをし、なほしひきつくろふべき所なく、心にかなふやうにもやと、えりそめつる人の、定まり難きなるべし。

一方がこうで他方がこうというようにちぐはぐで(こっちの方面には手腕があるがあっちの方面はまるでダメ)、というようにとかく女というものはそうそうはうまくいかぬもの。そう高い水準は望まないとしてもまずまず出来る女だって決して多くない。だから私は別に、色好みの心からあちこちの女を引き比べようというような了見ではなくてね、まあ結局、適正なる人材を探してさまよっているとでもいいましょうか、どうせ求めるなら、自分で力こぶを出して矯正して育てるなんて手間をかけずに、心にかなう女性と一緒になりたいものだと思って選び始めたところが、いまだ誰も見つからないというわけなんです。

N君:今日のところは古文解釈が特に難しくて、林望先生の訳文がなければとても理解できません。それにしても左馬頭という人はよくしゃべる男ですね。このセリフはどこまで続くのでしょうか。

Then, a woman may be good at this thing but not good at that.  At any rate, it is almost impossible to pick up a perfect woman.  It is even harder to look for an acceptable woman available even if you don't want to catch a prominent one.  Under the strict condition, I have no intention to compare this one with that out of my own interrest in women at all.  It may be fairly said that I am wandering around in order to get a woman suitable for me.  Although I began to choose as my legal wife a decent woman who does not need to be reformed,  I am not yet to have one who fulfills my wish.

S先生:第2文の pick up に異議ありです。N君は select のような意味を意図して軽い気持ちで使ったと思いますが、ここでは不適当でした。辞書を引いてみると pick up には多くの意味がありますが基本的には「人が物を拾い上げる、偶然安く手に入れる」の意であって、けなした意味で「異性をひっかける」の意もあります。したがってここで pick up を使うのは不適当であり、簡潔に find くらいで充分でしょう。第3文の後置形容詞 available ですがここでの使い方はよくないので除外してください。ここにavailable を持ってくる理由がありません。available は意味の広い便利な形容詞で、たとえばアパートの広告なんかで Available Immediately「即時入居可」などと使われます。第4文に動機を表す out of が出ました。適切に使うことができました。第6文譲歩節の began はいけません。主節が現在形なのだから、譲歩節の過去形は不可で現在完了 have begun くらいにすべきでしょう。この第6文譲歩節では、choose の目的語 a decent woman に関係代名詞がくっついて重いため後置して、前に as my legal wife を持ってきたのは良い判断でした。また decent woman に定冠詞でなくて不定冠詞を乗せたのも正しい判断でした。この件に関しては第296回で解説しましたね。

There are not so many ladies who can do everything pretty well even if you don't want to have a lady of high ability.  So I have no intention to compare this lady with that from an amorous standpoint.  I may be wandering to find a suitable lady whose character I don't have to reform, but I still can find no such a good lady as I would like to marry.

N君:a suitable lady whose character I don't have to reform という関係代名詞の使い方は珍しい気がします。あまり見かけません。

S先生:所有格の関係代名詞で、このようなやや特殊な用法があるので知っていて損はないでしょう。田中健介著「TOEIC TEST 860点クリア」から例文をふたつほど見てみましょう。I hear the lady about whose name you asked me is a new secretary of the president.「君が僕に名を尋ねてきた女性は新しい社長秘書らしいよ」。Some terms the meaning of which is almost incomprehensive to ordinary people are often used in judicial circles. 「一般人には理解不能な言葉が法曹界ではよく使われる」。