kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第276回 2021.12/19

帚木13:(中将の言葉続き)おのがじしうらめしき折々、待ち顔ならむ夕暮れなどのこそ見所はあらめ」と怨ずれば、やむごとなくせちに隠し給ふべきなどは、かやうにおほぞうなる御厨子などにうち置きちらし給ふべくもあらず、深く取り置き給ふべかめれば、二のまちの心安きなるべし。

だけど女たちがとりどりに恨めしく思っている時のとか、君を待ち焦がれている夕暮れ頃のとか、そういう手紙こそ見所があるってものではありませんか」と中将はうらめしそうに言い返した。しかし考えてみれば源氏にとって本当に大切な、そしてだれにも知られたくないような手紙は、こんないい加減な箱に入れてそこらに放っておきはしない。別のところに深く取り隠しているに決まっているのだから、ここにあるのは、いわば二の、どうでもいいような女からの手紙に違いない。

N君:今回も難しい古語がたくさん出て来たので調べておきます。副詞「おのがじし」は「めいめい」の意です。each other ですね。形容動詞「せちなり」は「痛切で甚だしい様子」を表しており、せち=切 の字のとうり切迫した状況を示します。「まち」は程度・等級を表しているそうなので、「二のまち」=「二流」=mediocre ということになります。

Why don't you think it interesting  for me to see letters which women wrote when they felt bitter about your unsympathetic attitude or when they longed for your arrival in the evening ?"  However, as you will be easily able to come up with, there is no reason why Genji leaves his important and secret letters in such a plain box.  As he ought to keep serious ones deep in a shelf, the letters here are surely from mediocre women who don't deserve attention.

S先生:全体的に持って回った言い方が多くていけません。もっと簡潔に表現することを考えて下さい。第1文は少し長いですかね。第2文の as節の come up with「思いつく、考え付く」には必ず目的語が必要なのでこのように言いっぱなしではいけません。こういうところは自動詞の notice くらいを使いましょう。また easily があれば be able to は意味的に重なるので除外して、as you will easily notice, くらいにまとめたほうがスッキリします。第3文も文法的にどうこう言うことはないのですが「なんとなく重い」感じがします。絶対ではありませんが「従属節と主節の主語は統一したほうが読みやすい」ということがありますので、ちょっとだけ気にしておきましょう。deserve は使い方の難しい重要単語ですからもう一度辞書で調べて例文を書き抜いておきましょう。ここでの使い方は悪くありません。

The letters from the ladies who are jealous of you or the ones in which they tell you how eagarly they are waiting for you to visit them in the evening : they are just worth reading, I think."  But the letters, which were precious to Genji and should not be read by anyone, could not be left carelessly in such a shabby box.  They were sure to be hidden secretly somewhere.  The letters here must have come from minor ladies.

第1文の be worth+名詞「~する価値がある」、第2文の could not 「~のはずがなかった」、第3文の be sure to do「~するにきまっている、きっと~する」に注意してください。worth はもともと形容詞だったので more worth のような比較変化もあるのですが、後ろに必ず名詞を取ることから前置詞と考えられるようになっています。N君の作文で出て来た deserve ともども、是非とも辞書で調べて自分なりにまとめておくことをおすすめします。

N君:文を短くすることを意識してみます。ジーニアス英和辞典から worth と deserve の例文をひとつづつ挙げておきます。The planetarium is worth visiting.「行ってみる価値がある」、A person who steals deserves punishing. = A person who steals deserves to be punished. 「盗人は罰せられて当然だ」。動名詞を使う時には being punished ではなくて punishing を使ったのに、不定詞を使う時には to be punished になっていて、頭がこんからがってきました。

S先生動名詞不定詞が問題になるのはここだけではありません。たとえば remember の目的語が動名詞の時と不定詞の時では文の意味が全然違う、という問題もあります。try や stop でも同じような問題が起きます。大修館のジーニアス英和辞典から例文を見てみましょう。

(1) remember の場合:I remember posting (having posted) the letter.「出したことを覚えてます」。I remembered to post the letter. 「忘れずに出した」。

(2) try の場合:He tried writing to her, but she did not reply. 「試しに書いてみたが返事がなかった」。He tried to write to her, but he coud not.「書こうとしたができなかった」。

(3) stop の場合:She stopped smoking.「吸うのをやめた」。She stopped to smoke.「立ち止まって吸った、吸うために立ち止まった」。この場合は動名詞vs不定詞 というよりも、stop の他動詞vs自動詞 という問題ですね。

このようなことは他の動詞でも起きるでしょうから、いちいち覚えてられませんよね。私は「動名詞はもう済んだこと、不定詞はこれからのこと」と理解するようにしていますが、これは本には書かれていないので正しいか否かわかりません。さて今回N君が問題にしているのは「deserve の目的語が、動名詞なら能動態なのに、不定詞なら受動態になっているのは何故か?」という問題です。これは非常に難しい問題で、辞書には「動名詞や名詞が目的語になっている場合は受け身的な意味になる」と書いていました。これではよくわかりませんね。A person who steals deserves punishing. の場合 punishing の目的語が主語person であって、動名詞の力が強いと感じます。A person who steals deserves to be punished. の場合は to be punished の主語が主語person であって、不定詞の力が相対的に弱いと感じます。このような理論はあくまでも私の主観ですから正しいか否か不明ですが、「分からないことは自分なりの方法で理解しておく」というのも大切で、後日その理解が間違っていたことを知った時に、理解がより深まります。以上、動名詞不定詞について長々と述べてきましたが、一言でまとめると私の印象は「動名詞は強くて不定詞は弱い」です。N君もいろいろな例文にあたって、自分なりの理解を深めていってください。