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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第264回 2021.12/7

桐壺204:かかる所に、思うやうならむ人をすゑて住まばやとのみ、嘆かしうおぼしわたる。

いっそこういう屋敷に、藤壺のような理想的な妻を迎えて一緒に暮らしたいものだが、と、源氏は今の身の上を嘆かわしいものに思い続けている。

N君:Looking pessimistically on the dark side of his life, he was thinking that he might just as well get married to an ideal woman like Fujitsubo and lead a happy life there with her.

S先生:may as well do「~するほうがまし」はなかなか難しい言い方ですがここではうまく作文できていると思います。

Genji continued to wish, deploring his unhappy circumstances, that he could live with an ideal wife like Fujitsubo at this residence.

今日の英作談義は「既成の天声人語英訳をつついてみよう」という企画です。これまでは私のつたない天声人語オリジナル英訳を何回か見て来たわけですが、今回は朝日新聞社が「天声人語を英語で読もう」という宣伝文句とともに、2013.5/13付の天声人語英訳を世に出したものを、N君と一緒に味わってみよう、という趣向です。テーマは「ヘイトスピーチ歴史認識」です。全体を6個のパラグラフに分けて、原文・英訳・N君の質問・私の解釈 という流れで見ていきましょう。それでは始めます。

(1) 自分のことを大切に思う。自分自身に価値を見いだす。そんな心の動きを自尊感情という。たしょうなりともそれを持てないと生きづらいが、往々「自分はダメだ」と落ち込むのもまた人間である。

Self-esteem comes from being able to care about onself and believe in one's own worth.  Life is miserable without it, but it is also human to sometimes feel worthless and become dejected.

N君:この部分は特にコメントはありません。単語として self-esteem「自尊心」、dejected「がっかりして」≒ disappointed くらいでしょうか。

S先生:第2文に分離不定詞が出ていますね。sometimes の位置に注意しましょう。

(2) といったことを考えたのは最近ヘイトスピーチが議論の的になっているからだ。人種や国籍で人を差別し、侮蔑し、貶める。例えば「韓国人を殺せ」などと、どぎつい言葉を発しながら在日韓国・朝鮮人の多い街中を練り歩く。 

My reason for bringing up self-esteem here is that hate speech has become a hot topic of late, with some people making blatantly discriminatory and derogatory remarks about others based on their race or nationality.  Recent examples include individuals marching in districts with large South Korean and North Korean populations, shouting malicious slogans such as "Kill Koreans."

N君:bring up は「育てる」しか知らなかったが「話題を持ち出す」の意があったのですね。第2文の真ん中あたりにある with は districts にかかっているのでしょうが、なかには marching にかかっていると解釈する人もいるでしょう。その場合「たくさんの南北朝鮮の人たちと共に練り歩く」となってしまう。そこで with をやめて、where many South Korean and North Korean live に変えてやれば districts にかかる関係副詞節となるので、誤解が発生しないと思います。

S先生:この with は having の意で、with以下はどうみても districts を修飾する形容詞句で「南北朝鮮人の大人口を抱えた地域」の意です。with の目的語が populations なので、N君の説に従うと「人口と一緒に練り歩く」となってしまうので矛盾です。

(3) あまりのエスカレートに国会の論戦でも取り上げられた。谷垣法相は「品格ある国家、成熟した社会」という方向と正反対だと嘆いた。安倍首相も言った。彼らは「結果として自分たちを辱めている」。

The escalation of this sort of behavior resulted in a recent Diet debate on hate speech.  Justice Minister Sadakazu Tanigaki said that this is the exact opposite of what is expected of "a dignified nation or a mature society."  Prime Minister Shinzo Abe also noted, "As a result of their behavior, those individuals are only demeaning themselves."

N君:第2文の a dignified nation と言われると「堅苦しくて冗談の通じない国」というイメージなのですが、「品位ある国家」とは驚きました。

S先生:dignified は「威厳のある、堂々とした」の意で使われることが多いですが、同時に「高貴な、品位ある」の意も持っています。第3文の文末に登場した demean oneself は「品位を落とす」の意です。かなり長くなったので第4・5・6パラグラフは次回に回します。それにしても見事な英語ですね。私の作文とは雲泥の差です。

N君:僕はS先生の作文のほうが emotion があって好きです。