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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第163回 2021.8/28

桐壺103:(帝)「雲の上も涙にくるる秋の月 いかですむらむ あさぢふのやど」おぼしめしやりつつ、ともしびをかかげ尽くして、起きおはします。

「こうして雲の上の宮中でも涙にくれてくもっている月だ、まして草深いあたりではどうして澄むことがあろう、やはり涙にくれて住むのであろうなあ」と帝はまた歌を朗吟される。こうして帝は、桐壺更衣の里にいる母君と若君のことをかれこれ思いやりながら、灯火をかきあげかきあげ深更まで起きておられる。

N君:He composed a poem and recited it again, "The moon seen vaguely from here, the Palace above the clouds, may look more obscurely from a grassy hut where Kiritsubo's mother lives."  Thinking pitifully of the mother and the baby boy who remain to live in the  suburb, He kept awake far into the night and treated the charcol under the fire.

S先生:第2文の remain to live ですが remain living とどっちが良いのか難しい。辞書によると、たしかに remain to be done の形はあって、It remains to be seen if he can find the solution to the problem.「解決できるか否かはこれからだ」という例が出ていました。しかし remain がつくる SVC の形の時に C の位置に来るのは「名詞・形容詞・分詞・副詞辞・前置詞句など」とのことで、不定詞はとらないようなので、今回の場合は remain living が良いと思います。この意味の時の remain は keep と同じで「依然として~のままである」といった感じになります。前回出て来た far into the night を早速つかいましたね。このようにどんどん試してみるのが上達の早道です。

The Emperor recited another poem : "Even in the Palace above the clouds an autumn  moon is wet with tears.  In the residence among weeds must she(Kiritsubo's mother) live with tearful eyes."  Thus sympathizing with Kiritsubo's mother and the young Prince, He remained awake far into the night, triming up the wick of a lamp.

N君:歌の第2文では助動詞の must が先に飛び出しており、僕には難しいことは分かりませんが、なんか「強調してるな」という感じがビンビン伝わってきます。それから歌の moon is wet with tears とか she must live with tearful eyes という表現がとても抒情的でグッときました。

S先生:強調のための手法は強調構文だけじゃなくていろいろある、ということだね。いろいろ経験すると表現も豊かになっていきます。はじめに戻って「澄む」+「住む」は掛詞(かけことば)と呼ばれる表現技法です。同音異義の二語を連想させて歌の世界に広がりを持たせています。二語のうち一方は自然の景物、他方は人間の状態を表すことが多いです。万葉集の時代にはなかった一種の言葉遊びで、古今集の時代(AD900以降)から発達しました。縁語も似たような技法です。