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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第137回 2021.8/2

桐壺77:(母君)「いとどしく虫の音しげき浅芽生(あさじふ)に 露おきそふる雲のうへ人。かごとも聞こへつべくなむ」と言はせ給ふ。

「『こんなにおびただしく虫も鳴き私も泣いている草深い宿に、なおもまた新しく涙の露を添えて下さる雲の上の人ですこと』。いっそお恨みごとまで申し上げたくなります」と、母君はそんなことまで御簾のうちから伝えてよこした。 

N君百人一首No.39参議等「浅茅生の小野の篠原しのぶれど あまりてなどか人の恋 しき」にも出て来る浅茅生は、丈の低い雑草が生えた原っぱ、転じて「草深い住居」。「浅茅が宿」などという言葉もあって、宮中のきらびやかさの対照にあるものです。以前に出た「八重葎(やえむぐら)・忍ぶ草」に通ずる雰囲気を持っています。

Kiritsubo's mother answered with an ironical poem : "You, a representative in the Court as if to live on the clouds, mercilessly add the new dews of tears on me who am weeping with lots of insects in the deserted hut."  "I would like to complain to Him in spite of myself," said she from inside the bamboo blind.

S先生:歌の始めのところの a representative in the Court as if to live on the cloud は間違いではないけれども少し重すぎるので a holy person above the cloud くらいでどうでしょうか。歌の後半に出て来る関係代名詞のところですが、me, who am ~ という具合に必ずカンマが必要です。代名詞が関係詞に先行している時は必ずカンマを打って一区切り入れるのです。in spite of myself は前回同様「無意識のうちに、思わず」の意ですね。どんどん使って慣れていきましょう。最後のところの from inside は前置詞がふたつ重なって変だなあと思う人もいるでしょうが、inside は副詞で、 from inside「~の内側から」という決まり文句になっています。

The old lady, too, sent a reply : "At the wild hut I am crying to the chirps of the crickets.  Yet you, a holy person above the clouds, are putting on me the dews of sad tears anew."  'I would rather make a complaint against Him,' said she from inside the bamboo blind.

歌の第1文で、前回に引き続いて「~に合わせて」の to をここでも使ってみました。第2文で、put の目的語 the dews of sad tears が重いので後置しました。英語ではこういうことは比較的よくあります。SVOC の O が重くて C が軽い時などに平気で SVCO の語順になったりしますから驚かないように。聖文新社 中原道喜先生著「新英文読解法」にたくさんの例が出ています。この本は素晴らしいので、是非読んでみて下さい。文法の規則も大事だが軽前重後はもっと大事、という場面が時々あるのです。

N君:英語も日本語同様、それほどキチキチしたものではなく、周辺状況によって柔軟にかわっていくものだ、という感じを受けました。