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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第71回 2021.5/28

桐壺11:おぼえいとやむごとなく、上衆(じゃうず)めかしけれど、わりなくまつはさせ給ふあまりに、さるべき御あそびのをりをり、なにごとにもゆゑあることのふしぶしには先(ま)づまうのぼらせ給ひ、

桐壺更衣という人は美しい女性として世間の評判も並々ならず、それなりに高貴な女性らしい風情を身にまとっていたのではあったが、いかんせん帝が年がら年中彼女をおそば近くに置きたがって、宮中のしかるべき行事に管弦を奏する折々やその他の行事の時でも、とにかく重要な事がある時にはいつでも、誰をさしおいてもまず桐壺更衣をお召しになる。 

N君:Kiritsubo-no-Kohi also had an extraordinary reputation as a beautiful woman and wore a noble demeanour.  The Emperor was so keen on keeping her near Him on every opportunity that nobody could stop His inviting her to solemn ceremonies accompanied with music  performance and other crucial rituals at the Court. 

S先生:crucial は「のっぴきならないくらい大切な」くらいの強い意味を持っていて a crucial issue to the world peace のように使います。ゆえにここでは important くらいが適当でしょう。以下に示した私の作文の第2文の始めのほうにある their は漠然と「宮中の人々」を指しています。また終わりのほうにある would は強い意志。that節の中にある一般動詞は attends ではなくて attend でよいのです。簡単に言うと attend の前に should が隠れていると思ってもらってもよいです。require や insist に導かれる that節のなかでこのような特殊な現象が起きるのであって、難しい言葉で言うと「仮定法現在」などと呼ばれています。詳しく知りたい人は、聖文新社 中原道喜先生著「新英文読解法」の79ページを見て下さい。この本は素晴らしい本ですが、レベルが高いので、ある程度英語に慣れてから読むと良いでしょう。

Kiritsubo had an extraordinary reputation as a beautiful lady and behaved like a noble lady. But to their embarrassment, the Emperor insisted that she should be always with  Him, and when there were concerts or other inportant court functions, He would require that she attend them, ignoring other ladies.

 

ある時にはおほとのごもり過ぐしてやがて侍はせ給ひなど、あながちにおまえ去らずもてなさせ給ひしほどに、おのづからかろきかたにも見えしを、

ある時には夜の閨にお召しになってそのまま手放さずに、無理を承知でおそばに置き続けるというようなことがあって、いつしか桐壺更衣がなんだか軽薄の女房のように見えることもあった。

N君:At times He called her to His bedroom in the evening and did not release her despite of realizing that it was out of rule.  Therefore she might look somehow unfaithful.

S先生:第1文の did は意志を込める意味で would に変えましょう。despite 以下は「無理を承知で」の意訳としてなかなか良いと思います。第2文の unfaithful ですが、ことによると「天皇に対して不貞な」と取られかねないので、like a lady of low rank のようにしてはどうでしょうか。

Sometimes when He called her into His bed at night, He would not let her leave Him, making her stay with Him as long as He wished to.  As a result, she looked like a low ranking lady.

 

このみこ生まれ給ひてのちはいと心ことに思ほしおきてたれば、にもようせずは、この御子の給ふべきなめりと一の御子の女御はおぼしうたがへり。

しかしながら桐壺更衣にこの子が生まれた後、帝はいままでとは違った心構えで格別に考え定めて御扱いになるので、弘徽殿女御のほうでは、もし悪くするとこの子が自分の子をさしおいて立太子するのではなかろうかと、疑いの心が芽生えた。

N君:坊は東宮坊=東宮御所、転じて皇太子。皇太子に立つのを「居る」というそう です。主語が、次男 → 帝 → 弘徽殿女御 という具合にめまぐるしく変わります。

However, the Emperor refrained from behaving in His own way after she bore Him a boy.  He became to think highly of her and treated her respectfully.  So, Kokiden-no-Nyogo began to suspect that He might promote the Kiritsubo's boy to the post of a Crown Prince instead of her own boy.

S先生:第1文の refrain from+名詞 , 第2文の think highly of+人 は押さえておきたい熟語ですね。第3文の suspect は doubt とどっちにするか悩んだでしょうね。ここでまとめておきましょう。まず doubt の後には if節・wh節・that節のどれがきてもよいけれど、doubt の意味が違ってきます。if節・wh節が来る場合は「疑問に思う」の意で、I doubt whether he will succeed.「成功するかどうかあやしい」。that節が来る場合は「~ないと思う」の意で、I doubt that he will succeed.「成功しないと思う」。次に suspect の後に来るのは that節だけであって「~ではないかと思う」の意となり、I suspect that he will succeed.「(失敗するかと予想されたが)成功しそうだ」。要するに、否定から肯定へ向かって、doubt that ~ doubt wh ~ suspect that の順に並んでいるという訳です。今回の場合は suspect that を使って正解でした。出会ったその時にこういう事を考えてみることは大切です。

The lady of Kokiden, who was the mother of the first Prince, was afraid that the second might be a Crown Prince by any chance in place of her own son.

N君:今回は盛沢山な内容でまとめるのに数日を要します。最後のところの by any chance ですが、肯定文の中にany が登場してる、ということに着目して「なにかのはずみに」みたいな訳になりそうです。