長恨歌 その59: 在天願作比翼鳥 在地願為連理枝
天にありては願わくは比翼の鳥となり、地にありては願わくは連理の枝とならんと。
天にあっては比翼の鳥となり地上にあっては連理の枝となりたい、いつまでも夫婦でいよう、と誓い合ったのであった。
N君:この部分は本来楊貴妃のセリフ部分にあたるのですが、第57,58回とのつながり具合などを勘案して間接話法でいかせてもらいます。比翼の鳥および連理の枝を少々説明しなければならないのが難しい。比翼の鳥というのは二体が一緒になって飛ぶ鳥、連理の枝というのは根が別なのに幹が融合して1本の木になったその枝、ということらしい。京都洛北の貴船神社(百人一首No.56和泉式部ゆかりの地)を訪ねたとき、2本の杉の木が途中で合体して連理の状態になってしまったのを見たことがあります。
They made an everlasting promise to be a couple like birds of "Hiyoku" in the heaven, which are said to fly in pairs, and like branches of "Renri" on the earth, which are said to be a tree derived from two roots.
S先生:これでだいたい良いと思います。比翼の鳥や連理の枝はたしかに説明が難しいですね。あまりに説明的な文章は冗長となって嫌われます。
They would like to become a happy couple like lovebirds in the heaven and a harmonious one like tangled branches on the earth.
N君:tangle は「からませる」という意の他動詞で、辞書には While swimming in the ocean, his legs became tangled with seaweeds. という例文が出てました。